肩甲下筋腱単独損傷の診断と治療

「はじめに」肩の外傷後, 運動時の痛みが軽減せず, 日常生活に困っている症例は多い. 一般に, 関節唇損傷やインピンジメントが多いが, その重症例の中に, 肩甲下筋腱損傷を4例経験したので, 症例供覧ともに, その特徴を若干の文献的考察を加えまとめてみた. 症例供覧 (1)症例I(41才男)交通事故で受傷し, 肩の外転外旋を強制された. 運動時の前方痛がとれないため, 受傷後4ケ月他院で手術を受けた, しかし痛みが軽減しないため, 術後2ケ月たって紹介受診となった. 所見として, 可動域制限はほとんどないが, 挙上・内外旋共自動運動時に前方痛があり, 特に力を入れると同部に激痛がおこる. 単純...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 2; pp. 630 - 633
Main Authors 岩本英明, 竹下満, 平田修, 尾上敏博, 荒牧健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1996
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」肩の外傷後, 運動時の痛みが軽減せず, 日常生活に困っている症例は多い. 一般に, 関節唇損傷やインピンジメントが多いが, その重症例の中に, 肩甲下筋腱損傷を4例経験したので, 症例供覧ともに, その特徴を若干の文献的考察を加えまとめてみた. 症例供覧 (1)症例I(41才男)交通事故で受傷し, 肩の外転外旋を強制された. 運動時の前方痛がとれないため, 受傷後4ケ月他院で手術を受けた, しかし痛みが軽減しないため, 術後2ケ月たって紹介受診となった. 所見として, 可動域制限はほとんどないが, 挙上・内外旋共自動運動時に前方痛があり, 特に力を入れると同部に激痛がおこる. 単純X線軸写像で小結節部に骨片が見られ, 肩関節造影にて前方の関節包のふくらみが強く, air CTにて図1のように肩甲下筋の付着部欠損が見られたため, 小結節骨折, 肩甲下筋腱断裂の診断のもとに手術を施行した. 術中所見として上腕二頭筋長頭腱断裂も併発していた. 手術は骨片を切除し, 肩甲下筋腱縫合を行った. 術後3ケ月たった現在痛みなく, 大工仕事に復帰している.
ISSN:0037-1033