腹部及び乳腺の超音波検診におけるカテゴリー分類の検討
<目的>腹部超音波検査, 乳腺超音波検査のカテゴリー分類の実態と精密検査結果を合わせ, カテゴリー分類の実情を検討し今後の診断能力向上に役立てる. <方法>(1)腹部超音波検診:判定で要精検となり, その中でも追跡が必要と考えられた追跡対象の所見に対し, 担当した超音波技師がカテゴリー分類を行ない, その後の精検結果とあわせて検討した. (2)乳腺超音波検診:H16年度に人間ドック及び巡回検診で乳腺超音波検診を受診した17,082例のうち, 要精検の診断は263例(1.5%), 悪性疾患が疑われる追跡対象者は62例(総受診者の0.4%, 要精検者の24%)で, この62...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 495 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本農村医学会
01.09.2005
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ISSN | 0468-2513 |
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Summary: | <目的>腹部超音波検査, 乳腺超音波検査のカテゴリー分類の実態と精密検査結果を合わせ, カテゴリー分類の実情を検討し今後の診断能力向上に役立てる. <方法>(1)腹部超音波検診:判定で要精検となり, その中でも追跡が必要と考えられた追跡対象の所見に対し, 担当した超音波技師がカテゴリー分類を行ない, その後の精検結果とあわせて検討した. (2)乳腺超音波検診:H16年度に人間ドック及び巡回検診で乳腺超音波検診を受診した17,082例のうち, 要精検の診断は263例(1.5%), 悪性疾患が疑われる追跡対象者は62例(総受診者の0.4%, 要精検者の24%)で, この62例に対し精検結果とカテゴリー分類の比較検討を行なった. <成績>カテゴリーは, I.悪性所見は認められない. II.所見は認めるが, 悪性の性状はない. III.悪性の疑いあるエコー所見であるが, 悪性と判定できない. IV.悪性の疑いが濃厚な所見. V.悪性と断定し得る所見とした. (1)腹部超音波検診:H16年度に人間ドック及び巡回検診で腹部超音波検診を受診した66,068例のうち, 要精検の診断は557例(0.84%), 悪性疾患が疑われる追跡対象者は62例(総受診者の0.09%, 要精検者の11.8%)で, この62例に対し精検結果とカテゴリー分類の比較検討を行なった. 1年間に発見された癌症例は25例で, 肝細胞癌, 11例, 転移性肝癌, 5例, 胆管細胞癌, 1例, 胆嚢癌, 1例, 総胆管癌, 1例, 膵臓癌, 2例, 腎臓癌, 1例, リンパ節転移, 2例, 膀胱癌, 1例であった. カテゴリーII, IIIで悪性腫瘍であった症例は8例で, 内訳は肝細胞癌4例, 転移性肝癌2例, 胃癌リンパ節転移1例, 膀胱癌1例であった. カテゴリーVであったが, 良性疾患であった症例は3例で, 内訳はIPMT1例, Oncocytoma1例, 自己免疫性膵炎1例であった. (2)乳腺超音波検診:1年間に発見された癌症例は20例であった. カテゴリーII, IIIで悪性腫瘍であった症例は8例で, 腫瘤にハローを有するもの2例, 微細石灰化を有するもの2例あり, 見直しではカテゴリーIVまたはVとして良いと思われる症例が3例認められた. 1例は乳癌切除後のリンパ節転移であった. カテゴリーVであったが, 良性疾患であった症例は2例で, 1例は線維腺腫, 1例は乳腺症の診断で, 組織診断がなされていた. <結論>腹部超音波検診におけるカテゴリー分類はおおむねカテゴリーが上がると癌症例に合致していたが, 一部症例で悪性度が一致していなかったものもあった. 必ずしも悪性度に一致したものではなかった. カテゴリーVで良性疾患であったのは, 比較的稀な症例が多かった. 乳腺超音波検診でもカテゴリーが上がるにつれて癌症例との合致率は上昇したが, カテゴリーIIIを見直し検討した結果IV~Vの症例が38%(8例中3例)あり, 読影力の向上が求められる. |
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ISSN: | 0468-2513 |