(II-P2-17)寒天の錠剤化による介護食への利用
【目的】摂食・嚥下機能が低下した方の食事では, 食材をゼリー状に固めるなどの工夫がなされている. しかし, 在宅で少量の食事(個食)をゼリー状に固める場合, 市販のゼリー剤では小分け品であっても量が多く, 個食に合わせた計量が必要になる. また, 調理ではガスコンロや熱湯を使うため, 手間がかかる上にやけどの危険も伴う. そこで, 本研究は在宅での計量や調理の手間を簡便にすることを目的とし, 寒天の小さな錠剤を作製して介護食への有用性を検討したので報告する. 【方法・結果】50~90℃で溶解した即溶性寒天(4種)のゼリー強度から, 各寒天の温度ごとの溶解率を算出し, 最も溶けの良い寒天の錠剤を...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 455 - 456 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2006
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【目的】摂食・嚥下機能が低下した方の食事では, 食材をゼリー状に固めるなどの工夫がなされている. しかし, 在宅で少量の食事(個食)をゼリー状に固める場合, 市販のゼリー剤では小分け品であっても量が多く, 個食に合わせた計量が必要になる. また, 調理ではガスコンロや熱湯を使うため, 手間がかかる上にやけどの危険も伴う. そこで, 本研究は在宅での計量や調理の手間を簡便にすることを目的とし, 寒天の小さな錠剤を作製して介護食への有用性を検討したので報告する. 【方法・結果】50~90℃で溶解した即溶性寒天(4種)のゼリー強度から, 各寒天の温度ごとの溶解率を算出し, 最も溶けの良い寒天の錠剤を作製した後, 液体中における崩壊性を検討した. その結果, 冷水, だし汁やジュースなどの冷たい液体では30秒以内に崩壊し, 牛乳では約2分, 70℃の温湯においては崩壊させることができなかった. 次に, ミキサー食などをゼリー状に固めてそのテクスチャー特性値を検討するため, 煮魚などの素材あるいは流動食に, 添加する錠剤の数を変化させてゼリーを調製した. いずれの素材でも錠剤の使用数にほぼ比例してゼリーは硬くなり, 100gあたり4~6錠の使用で適正な硬さの範囲(1×103~10×103N/m2)になった. また, これを60~65℃に温めると硬さは低下したが, 使用数を1錠程度増加させることで適正な範囲を維持し, 溶解せずに良好な形を保持していた. 一方, 電子レンジを用いた調理法の検討も併せて行い, 錠剤を用いる有効性を確認した. 【考察】寒天の錠剤化は, 在宅で介護される方の負担を軽減できる有効な素材であることが示唆された. 個食でも計量や調理が簡便となり, 電子レンジの調理も可能となる. すなわち, 少量の食事をゼリー化する調理の簡便化の提案が可能となる. さらにスティックや小袋のような包材の無駄ゴミが出ないので, 従来よりも有用な形態であることが考えられた. |
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ISSN: | 1343-8441 |