骨髄異形成症候群に施行した同種末梢血幹細胞移植
【緒言】同種末梢血幹細胞移植(allo-PBSCT)は同種骨髄移植に替わる方法として積極的に臨床応用が試みられている. 骨髄異形成症候群にallo-PBSCTを行ったので報告する. 【対象および経過】平成7年11月に貧血を指摘され, 精査の結果, 骨髄異形成症候群(RAEB-T)の診断を受けた. 寛解導入療法を試みたが完全寛解に至らず, 又, 化学療法後の血液学的回復が不良のため, HLAが一致した妹からのallo-PBSCTをインフォームドコンセント後, 計画した. ドナーにG-CSF8μg/Kgを採取4日前より皮下投与した. G-CSF投与によるドナーの副作用として注射後の持続する体熱感が...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 259 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1997
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【緒言】同種末梢血幹細胞移植(allo-PBSCT)は同種骨髄移植に替わる方法として積極的に臨床応用が試みられている. 骨髄異形成症候群にallo-PBSCTを行ったので報告する. 【対象および経過】平成7年11月に貧血を指摘され, 精査の結果, 骨髄異形成症候群(RAEB-T)の診断を受けた. 寛解導入療法を試みたが完全寛解に至らず, 又, 化学療法後の血液学的回復が不良のため, HLAが一致した妹からのallo-PBSCTをインフォームドコンセント後, 計画した. ドナーにG-CSF8μg/Kgを採取4日前より皮下投与した. G-CSF投与によるドナーの副作用として注射後の持続する体熱感が見られた. CS-3000pulusで8Lの血液処理を二日間行い有核細胞数:6.97x10^8 /Kg, CD34(+):17.8x10^6 /Kg, T3:3.64x10^8 /Kgの輸注を行った. 移植前処置はbusulfan(16mg/Kg)およびcyclophosphamide(120mg/Kg)を用いた. 移植後, 顆粒球が500/μl, 血小板が20,000/μl, 網状赤血球が10%を越えたのは, 各々day17, 17, 20日であった. 当科での同種骨髄移植時の血液学的回復と比較すると大きな差異はなかった. 現時点では急性GVHDを認めず経過観察中である. 【まとめ】1. Allo-PBSCTの利点の一つはドナーへの負担が少ない事である. 本症例のドナーは血管が細くクイントカテーテルを挿入し二日間の入院を要した. 血管確保が一つの問題点として上げられた. 2. ドナーへのG-CSF投与による大きな副作用は見られなかった. 3, 移植後の血液学的回復は良好でありGVHDは現時点では認めていない. |
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ISSN: | 0546-1448 |