日本内分泌外科学会 甲状腺微小癌取扱い委員会による提言 (コンセンサス・ステートメント) 「成人の甲状腺低リスク微小乳頭癌に対する積極的経過観察の適応と方法」 : エッセンスと今後の課題

「要旨」近年, 甲状腺微小乳頭癌の罹患率増加に伴う過剰診断・過剰治療は, 甲状腺癌診療において解決すべき課題の一つとなっている. その解決方法の手段の一つとして甲状腺微小乳頭癌に対する積極的経過観察 (AS) が, わが国より発信され世界的に普及してきている. ASは優れた管理方針ではあるものの, 適切な適応と方法で実施することで安全に行える方針であり, 医療者と患者の理解を深める必要がある. そのため, 現在までのエビデンスで, 適切と考えられるASの具体的な適応と方法を提示することを目的に, 日本内分泌外科学会は患者説明用紙の雛形を含むコンセンサス・ステートメントを制作した. 本稿ではコン...

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Published in日本甲状腺学会雑誌 Vol. 13; no. 1; pp. 29 - 33
Main Author 吉田有策
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本甲状腺学会 27.04.2022
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ISSN2185-3126

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Summary:「要旨」近年, 甲状腺微小乳頭癌の罹患率増加に伴う過剰診断・過剰治療は, 甲状腺癌診療において解決すべき課題の一つとなっている. その解決方法の手段の一つとして甲状腺微小乳頭癌に対する積極的経過観察 (AS) が, わが国より発信され世界的に普及してきている. ASは優れた管理方針ではあるものの, 適切な適応と方法で実施することで安全に行える方針であり, 医療者と患者の理解を深める必要がある. そのため, 現在までのエビデンスで, 適切と考えられるASの具体的な適応と方法を提示することを目的に, 日本内分泌外科学会は患者説明用紙の雛形を含むコンセンサス・ステートメントを制作した. 本稿ではコンセンサス・ステートメントのエッセンスを解説し, 今後の課題を提示する. 本コンセンサス・ステートメントがASの安心で安全な普及, また医療者, 患者の納得がいく意思決定の一助となることを望む.
ISSN:2185-3126