家庭用品に使用される化学物質の皮膚感作性試験(VII)N-(cyclohexylthio)phthalimide (CTP), diethylene glycol mono-n-butyl ether acetate (DEGBEA), di-n-butyl sebacate (DBS) のモルモットにおける皮膚感作性

家庭用品には可塑剤, 加硫促進剤, 酸化防止剤など様々な用途に多くの化学物質が使用されていることから, ヒトがこれらの化学物質に直接的に暴露される危険性がある. しかしこれらの化学物質の安全性, 特に皮膚感作性については十分に検討されているとは言い難い. 我々は家庭用品に使用される化学物質の皮膚感作性を調査してきたが, 今回はスコーチ防止剤(加硫遅延剤)として使用されているN-(cyclohexylthio)phthalimide(CTP), 溶剤として用いられるdiethyleneglycol mono-n-butyl etheracetate(DEGBEA)および可塑剤のdi-n-buty...

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Published in生活衛生 Vol. 48; no. 2; pp. 77 - 86
Main Authors 野田勉, 山野哲夫, 清水充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大阪生活衛生協会 30.03.2004
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ISSN0582-4176

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Summary:家庭用品には可塑剤, 加硫促進剤, 酸化防止剤など様々な用途に多くの化学物質が使用されていることから, ヒトがこれらの化学物質に直接的に暴露される危険性がある. しかしこれらの化学物質の安全性, 特に皮膚感作性については十分に検討されているとは言い難い. 我々は家庭用品に使用される化学物質の皮膚感作性を調査してきたが, 今回はスコーチ防止剤(加硫遅延剤)として使用されているN-(cyclohexylthio)phthalimide(CTP), 溶剤として用いられるdiethyleneglycol mono-n-butyl etheracetate(DEGBEA)および可塑剤のdi-n-butyl sebacate(DBS)についてモルモットを用いた皮膚感作性試験を実施した. CTPは天然ゴムやスチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴム用のthiophthalimide系スコーチ防止剤として使用されている. CTPに対するヒトの皮膚感作性調査がフィンランド[1], フランス, ベルギー[2], ドイツ[3]で実施され, 陽性反応率が2.7~4.6%と高率に認められた. さらにおしめのゴム部分に使用されたCTPで幼児が感作された事例が報告されている[4]. このようにヒトでCTPに皮膚感作性があることが示されているが, 実験動物を用いたCTPの皮膚感作性についての報告はない. Lisiら[5]は農薬に対するアレルギー反応を調べた結果, ヒトでthiophthalimid(3系農薬とdithiocarbamate系農薬との間に交差反応性がある可能性を示唆した. 一方, ゴム用の化学物質に対する皮膚感作性を調査した報告[1-3]では, thiophthalimide系のCTPに感作が成立したヒトにdithiocarbamate系化合物に対する交差反応性は認められないとしている. このようにthiophthalimide類とdithiocarbamate類との間の交差反応性については明確な結論が出るに至っていない.
ISSN:0582-4176