開心術後ECMO症例における低用量抗凝固剤管理の妥当性

「要旨」 開心術後の体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation : ECMO)は, 出血傾向のため抗凝固療法の使用に対する注意が必要となる. 当院での開心術前後における一時的無抗凝固あるいは, 低用量抗凝固剤でのECMO管理の妥当性について検討した. ECMOから離脱できたA群(n=13)と離脱不能のB群(n=5)とを比較すると, 術後3時間出血量, 24時間出血量はB群の方が有意に多く, また24時間の輸血量もB群の方が多かった. 次にICU入室後, 抗凝固剤の開始時期が3時間以内であったC群(n=6)とそれ以後のD群(n=12)で比較すると,...

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Published in体外循環技術 Vol. 46; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 井上一也, 光家努, 榊原裕, 西村和修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2019
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」 開心術後の体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation : ECMO)は, 出血傾向のため抗凝固療法の使用に対する注意が必要となる. 当院での開心術前後における一時的無抗凝固あるいは, 低用量抗凝固剤でのECMO管理の妥当性について検討した. ECMOから離脱できたA群(n=13)と離脱不能のB群(n=5)とを比較すると, 術後3時間出血量, 24時間出血量はB群の方が有意に多く, また24時間の輸血量もB群の方が多かった. 次にICU入室後, 抗凝固剤の開始時期が3時間以内であったC群(n=6)とそれ以後のD群(n=12)で比較すると, 術後3時間出血量はD群の方が有意に多かったが24時間出血量では差がなかった. ECMOからの離脱率向上のためには抗凝固剤の使用法を含めた出血制御が肝要である. 一時的な無抗凝固・低用量抗凝固剤でのECMO管理は妥当であると考えられた.
ISSN:0912-2664