Hippoシグナルの抑制とAktシグナルの活性化による卵胞発育の誘起を基盤とする新たな不妊治療法の開発

「緒言」卵巣は, 卵子の産生と生殖に必要なホルモン産生を司る臓器である. 通常, 卵巣機能は35歳頃より低下し始め, 50歳頃に廃絶して閉経を迎える. しかし, 何らかの原因により卵巣内の残存卵胞の急激な減少がおこり, 40歳より若くして閉経に至る疾患があり, 早発卵巣不全 (POI ; primary ovarian insufficiency) と呼ばれる. POIでは発育卵胞の発育が認められず, 排卵がおこらないため難治性の不妊となる. 我々は, POI患者が自らの卵子で妊娠できる新たな不妊治療法として, 卵胞活性化療法 (IVA : in vitro activation) を開発し,...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 43; no. 1; pp. 21 - 24
Main Author 河村和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 聖マリアンナ医科大学医学会 01.05.2015
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ISSN0387-2289

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Summary:「緒言」卵巣は, 卵子の産生と生殖に必要なホルモン産生を司る臓器である. 通常, 卵巣機能は35歳頃より低下し始め, 50歳頃に廃絶して閉経を迎える. しかし, 何らかの原因により卵巣内の残存卵胞の急激な減少がおこり, 40歳より若くして閉経に至る疾患があり, 早発卵巣不全 (POI ; primary ovarian insufficiency) と呼ばれる. POIでは発育卵胞の発育が認められず, 排卵がおこらないため難治性の不妊となる. 我々は, POI患者が自らの卵子で妊娠できる新たな不妊治療法として, 卵胞活性化療法 (IVA : in vitro activation) を開発し, その臨床応用を開始している. 本稿では, IVAの基礎研究とその臨床応用について概説ついて紹介する. 「卵胞発育」卵巣内には卵子を包含し, その発育を支持する卵胞組織がある. 卵胞には, 体細胞として顆粒膜細胞, 莢膜細胞があり, それぞれエストロゲン, アンドロゲンを産生する.
ISSN:0387-2289