クリティカルパスを用いた大腿骨頭回転骨切り術術後療法の検討

小児整形外科疾患の治療においては, 大腿骨骨切り術など術後後療法に長期間を必要とすることが多い. 今回, 我々はクリティカルパスを用いてペルテス病と大腿骨頭すべり症の大腿骨頭回転骨切り術を行い, 術後後療法の経過を検討したので報告する. 「症例」対象はペルテス病1例, 大腿骨頭すべり症1例である. ペルテス病症例は前医にて外転免荷装具の着用を約1年6ヵ月間行っていた. 当科, 初診時9歳3ヵ月であった. 大腿骨頭すべり症例は急性型であり, 当科, 初診時10歳7ヵ月であった. 鋼線牽引の後, 骨切り術を施行した. この2症例に対して, ビデオを併用したクリティカルパスを用いて術前より術後後療法...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1072
Main Authors 福永拙, 佐竹孝之, 大津享子, 宗野寿恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:小児整形外科疾患の治療においては, 大腿骨骨切り術など術後後療法に長期間を必要とすることが多い. 今回, 我々はクリティカルパスを用いてペルテス病と大腿骨頭すべり症の大腿骨頭回転骨切り術を行い, 術後後療法の経過を検討したので報告する. 「症例」対象はペルテス病1例, 大腿骨頭すべり症1例である. ペルテス病症例は前医にて外転免荷装具の着用を約1年6ヵ月間行っていた. 当科, 初診時9歳3ヵ月であった. 大腿骨頭すべり症例は急性型であり, 当科, 初診時10歳7ヵ月であった. 鋼線牽引の後, 骨切り術を施行した. この2症例に対して, ビデオを併用したクリティカルパスを用いて術前より術後後療法を中心にして説明, 指導を行った. 「結果」従来より, 小児の大腿骨骨切り術においては部分荷重歩行が困難であることが多く, 完全免荷もしくは車椅子移動を指導していた. 2症例ともクリティカルパスを用いて術前より, 手術および術後後療法について説明を行うことにより, 術後後療法のポイントである部分荷重歩行を早期より実施することが容易であった. 「考察」小児における荷重関節の術後後療法では, 免荷, 部分荷重歩行を説明しにくいという点が挙げられる. クリティカルパスは治療計画を理解しやすく, 具体的な治療の流れを患者および医療従事者間で確認するものであるが, 今回の2症例はビデオを併用することによって, 視覚的にさらに明確に説明することができたと考える.
ISSN:0034-351X