異常呼吸音の自覚によってみつかった粘表皮癌の1例

粘表皮癌は主に気管および中枢気管支に発生する稀な肺癌である. 粘表皮癌は気管支内腔に向かって進展するため, 無気肺や閉塞性肺炎を呈する事が多い. 今回呼吸音異常の自覚により発見された粘表皮癌の症例を経験したので報告する. 症例は50歳, 男性. 異常呼吸音を自覚して近医受診したが, 胸部X線写真上異常を指摘されず, 精査目的で当院受診した. 聴診上乾性ラ音が認められ, 胸部CT上左B^8 内に腫瘍による閉塞が疑われた. 気管支鏡検査を行ったところ, 左底幹入口部を閉塞する表面は不整な白色のポリープが認められた. 同部位より擦過細胞診および生検を行い, 粘表皮癌と診断され, 左底区域切除を行った...

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Published in気管支学 Vol. 19; no. 6; p. 504
Main Authors 宇田裕史, 船越俊幹, 後藤浩之, 中山富雄, 今村文生, 中村慎一郎, 楠洋子, 宝来威, 横内秀起, 石黒信吾, 真能正幸, 新井徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.09.1997
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ISSN0287-2137

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Summary:粘表皮癌は主に気管および中枢気管支に発生する稀な肺癌である. 粘表皮癌は気管支内腔に向かって進展するため, 無気肺や閉塞性肺炎を呈する事が多い. 今回呼吸音異常の自覚により発見された粘表皮癌の症例を経験したので報告する. 症例は50歳, 男性. 異常呼吸音を自覚して近医受診したが, 胸部X線写真上異常を指摘されず, 精査目的で当院受診した. 聴診上乾性ラ音が認められ, 胸部CT上左B^8 内に腫瘍による閉塞が疑われた. 気管支鏡検査を行ったところ, 左底幹入口部を閉塞する表面は不整な白色のポリープが認められた. 同部位より擦過細胞診および生検を行い, 粘表皮癌と診断され, 左底区域切除を行った. 腫瘍は径約1.5cmで広基性であり, 気管支内腔のみへ発展し, 気管支壁外への浸潤およびリンパ節転移は認められなかった. 病理組織像にて粘表皮癌と確認された.
ISSN:0287-2137