(II-P1-16)嚥下内視鏡検査用ゼリーの開発

【緒言】嚥下内視鏡検査において, 誤嚥が疑われる患者では検査食としてゼリーが用いられることが多い. しかしながら, ゼリーは透明度が高いために周囲組織と判別が困難な場合がある. そこで本研究では, 内視鏡下でのゼリーの視認性を高めるために, 不透過性に着色したゼリーを開発し, 咽頭残留の識別しやすさについて他のゼリーと比較検討を行った. 【方法】A. 無色透明の水分補給ゼリー, B. 水分補給ゼリーにベニバナ色素を混和したもの, C. 開発した不透過性緑色ゼリー, 以上3種類のゼリーを準備した. 各ゼリーについてそれぞれ0.1g, 0.25g, 0.5g, 1.0g, 2.0gが喉頭蓋谷に貯留...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 445 - 446
Main Authors 佐々生康宏, 野原幹司, 小谷泰子, 阪井丘芳, 翠田彩洋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2006
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ISSN1343-8441

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Summary:【緒言】嚥下内視鏡検査において, 誤嚥が疑われる患者では検査食としてゼリーが用いられることが多い. しかしながら, ゼリーは透明度が高いために周囲組織と判別が困難な場合がある. そこで本研究では, 内視鏡下でのゼリーの視認性を高めるために, 不透過性に着色したゼリーを開発し, 咽頭残留の識別しやすさについて他のゼリーと比較検討を行った. 【方法】A. 無色透明の水分補給ゼリー, B. 水分補給ゼリーにベニバナ色素を混和したもの, C. 開発した不透過性緑色ゼリー, 以上3種類のゼリーを準備した. 各ゼリーについてそれぞれ0.1g, 0.25g, 0.5g, 1.0g, 2.0gが喉頭蓋谷に貯留した咽頭部の静止画像を内視鏡下にて撮影した. これらの静止画像(3種類×5=15枚)に貯留のない静止画像5枚を加えた合計20枚を準備した. 内視鏡検査に熟練した歯科医師4名, 言語聴覚士1名が, 各画像について「残留を認める(2点)」, 「残留を疑う(1点)」, 「残留を認めない(0点)」の3段階で判定した. 【結果】各ゼリーにおける0.1g, 0.25g, 0.5g, 1.0g, 2.0gの画像の判定点数(平均点)は, Aでそれぞれ0.2, 0.2, 0.4, 0.2, 1.2, Bで1.4, 1.8, 2.0, 2.0, 2.0, Cで1.6, 2.0, 2.0, 2.0, 2.0であった. これらの結果から, ゼリーの量を減少させたときに全員が2点と判定できる最小量を示したのは, Cであった. 【結論】ゼリーに不透過性を付与することにより, 内視鏡下における残留判定の確実性が向上したことから, 検査用ゼリーとしての有用性があると考えられた.
ISSN:1343-8441