根管内小器具の折れ込みについて

「I)はじめに」根管治療を成功させるためには, (1)徹底した根管の清掃と拡大, (2)根の消毒, (3)気密な根管充填の3原則が守られねばならない. これらのいづれでも欠けるようなことがあれば, 根管治療の予後を低下させることは疑いもない事実とされる. しかしながら, 根管処置の過程において, 学生や初心者, また稀に熟練者においても, 不幸にして根管用小器具の破折事故をおこすことがある. 根管内の破折片が除去されないで根管に残存していると, 根尖孔までの十分な根管拡大と清掃が行なえず, また完全な根管消毒はもちろん, 緻密な根管填塞も施行が困難となるため, 前述の根管治療の原則が遵守されず...

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Published in神奈川歯学 Vol. 13; no. 3; pp. 161 - 169
Main Authors 蒲池春壽, 堀内晶子, 西崎弘, 海老原仁, 長田保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.1978
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Summary:「I)はじめに」根管治療を成功させるためには, (1)徹底した根管の清掃と拡大, (2)根の消毒, (3)気密な根管充填の3原則が守られねばならない. これらのいづれでも欠けるようなことがあれば, 根管治療の予後を低下させることは疑いもない事実とされる. しかしながら, 根管処置の過程において, 学生や初心者, また稀に熟練者においても, 不幸にして根管用小器具の破折事故をおこすことがある. 根管内の破折片が除去されないで根管に残存していると, 根尖孔までの十分な根管拡大と清掃が行なえず, また完全な根管消毒はもちろん, 緻密な根管填塞も施行が困難となるため, 前述の根管治療の原則が遵守されず, 予後が危ぶまれる. したがって, 破折片をなんとかして除去せねばならないということで, 従来から, 機械的な除去方法, 化学的に腐蝕して除去する方法などが, いろいろと報告されている. しかしながら, 機械的に把持困難な破折片, とくに, 根管中央部より根尖近くに食い込んだように折れ込んでいるリーマー類の機械的除去は殆んど絶望的と考えられる.
ISSN:0454-8302