認知機能低下者に対する理学療法の再考

「はじめに」高齢化に伴い, 脳血管障害や整形外科疾患に認知症を合併する患者が増えており, 認知症があっても効果的な理学療法を提供することが求められる. そこで本稿では認知機能低下者(軽度認知障害 mild cognitive impairment; MCI, 認知症)に理学療法を提供する際に議論となる, (1)なぜ認知症合併者は理学療法を拒否するのか, (2)進行性の疾患である認知症にリハビリテーション(リハ)は効果があるのか, (3)認知症は認知機能が低下する病気であり, 身体機能は低下しないので理学療法は不要なのか(理学療法を行うと逆に徘徊など転倒リスクが高まる), (4)運動で認知症は予...

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Published in理学療法福岡 no. 36; pp. 40 - 46
Main Author 山上徹也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 福岡県理学療法士会 31.03.2023
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ISSN1342-1433

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Summary:「はじめに」高齢化に伴い, 脳血管障害や整形外科疾患に認知症を合併する患者が増えており, 認知症があっても効果的な理学療法を提供することが求められる. そこで本稿では認知機能低下者(軽度認知障害 mild cognitive impairment; MCI, 認知症)に理学療法を提供する際に議論となる, (1)なぜ認知症合併者は理学療法を拒否するのか, (2)進行性の疾患である認知症にリハビリテーション(リハ)は効果があるのか, (3)認知症は認知機能が低下する病気であり, 身体機能は低下しないので理学療法は不要なのか(理学療法を行うと逆に徘徊など転倒リスクが高まる), (4)運動で認知症は予防できるのかについて検討し, 認知症があっても効果的な理学療法の提供に繋げたい. 「1. なぜ認知症合併者は理学療法を拒否するのか」「1) 拒否する理由」認知症により認知機能が低下することで, 記憶・遂行機能等の要素的認知機能に加えて, より上位の内省能力(自己を振り返る)もしくはメタ認知(自己を客観的に捉える)も障害され, 病識が低下する.
ISSN:1342-1433