屈折矯正手術後に内斜視が悪化した一例

【目的】屈折矯正手術の普及に伴い, 術後に両眼視機能の質の変化をみるケースが散見される. 以前から一過性複視の自覚があった若年女性が, 屈折矯正手術後に眼位の悪化をみた一例を経験したので報告する. 【症例】21歳の女性. 小学校高学年から疲労時に複視を自覚していたが症状が続くことはなかった. 精査や加療は受けたことがなく近視に対し眼鏡もしくはコンタクトレンズを装用していた. 2008年12月前医で近視に対して, 両眼のlaser in situ kertomileusis(LASIK)を受けた. 2009年4月から複視が持続的となり, 眼位異常の悪化を自覚したため同年7月当院を受診した. 初診...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 39; p. 258
Main Authors 説田雅子, 田中明子, 柴田優子, 山下牧子, 望月學
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本視能訓練士協会 29.12.2010
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Summary:【目的】屈折矯正手術の普及に伴い, 術後に両眼視機能の質の変化をみるケースが散見される. 以前から一過性複視の自覚があった若年女性が, 屈折矯正手術後に眼位の悪化をみた一例を経験したので報告する. 【症例】21歳の女性. 小学校高学年から疲労時に複視を自覚していたが症状が続くことはなかった. 精査や加療は受けたことがなく近視に対し眼鏡もしくはコンタクトレンズを装用していた. 2008年12月前医で近視に対して, 両眼のlaser in situ kertomileusis(LASIK)を受けた. 2009年4月から複視が持続的となり, 眼位異常の悪化を自覚したため同年7月当院を受診した. 初診時の視力と自覚的屈折度は, 右1.5(1.5×+0.75D=cvl-0.25DAx20°), 左2.0(2.0×+1.00D=cyl-0.25DAx180°). 眼軸長右23.74mm, 左23.90mm, 角膜厚(角膜中央)右494μm, 左473μmであった. 眼位は, Hirschberg+15°, 遠見, 近見ともに45プリズムジオプトリーの内斜視であった. 眼球運動は正常であった. ワース4灯検査は遠近ともに5灯で, 立体視は不良であった. 【考案】非調節性内斜視と近視のあったものが, 屈折矯正手術によって近視から遠視に変化し, 内斜視悪化の誘因になったと考えられた. 屈折矯正手術前に眼位異常の既往聴取や眼位検査を行うと, 術後の眼位変化の予測に役立つと思われる. また眼位や両眼視の変化を訴える患者からは, 屈折矯正手術の既往も聞き洩らさないようにする必要がある.
ISSN:0387-5172