潜在性結核感染症の外国人留学生に対する服薬支援 - 専門学校における結核集団感染事例

「要旨:」大阪市の専門学校において, ネパール出身の20歳代男性の学生を初発患者とする結核集団感染事例を経験した. 初発患者はX年4月に喀血を認め近医へ救急搬送され, 肺結核(日本結核病学会病型分類bI3, 喀痰塗抹3+, イソニアジド耐性)と診断され, 約6カ月の発見の遅れを認めた. 接触者である学生65名に対し胸部X線写真およびインターフェロンγ遊離試験(IGRA)による接触者健診を実施した. その結果, 潜在性結核感染症(LTBI)27名, 結核発病6名を発見し, IGRA陽性は33名(50.8%)であった. IGRA陽性率の高かったグループの学生でIGRA陰性の者に対し, 最終接触から...

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Published in結核 Vol. 98; no. 5; pp. 159 - 163
Main Authors 永石真知子, 小向潤, 松本健二, 橋本美穂, 下内昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.07.2023
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Summary:「要旨:」大阪市の専門学校において, ネパール出身の20歳代男性の学生を初発患者とする結核集団感染事例を経験した. 初発患者はX年4月に喀血を認め近医へ救急搬送され, 肺結核(日本結核病学会病型分類bI3, 喀痰塗抹3+, イソニアジド耐性)と診断され, 約6カ月の発見の遅れを認めた. 接触者である学生65名に対し胸部X線写真およびインターフェロンγ遊離試験(IGRA)による接触者健診を実施した. その結果, 潜在性結核感染症(LTBI)27名, 結核発病6名を発見し, IGRA陽性は33名(50.8%)であった. IGRA陽性率の高かったグループの学生でIGRA陰性の者に対し, 最終接触から6カ月後に再度IGRAを実施し, さらに3名のLTBIを発見し, 学生のLTBIは合計30名となった. LTBIの背景をみると, 男性は53.3%, 平均年齢は24.1歳, 20歳代前半が73.3%を占めた. いずれも日本より結核罹患率の高い国の出身者であった. 初発患者はイソニアジド耐性のため, LTBIに対しリファンピシンによる4カ月治療を行い, 学校と連携した服薬支援により全員が治療を完了した.
ISSN:0022-9776