思春期のうつ病のアプローチ

「児童思春期のうつ病」とは, DSM-5におけるうつ病(DSM-5)(以下, うつ病)を指すものである. 従来, 児童思春期の患者に成人と同様の基準で診断できるようなうつ病は存在しないと考えられていた. しかし, 1970年代後半から, 児童思春期においても成人の診断基準を満たすうつ病が存在することが明らかになった. 最近の疫学的報告では, うつ病の初発エピソードの頻度は12歳から急速に上昇し, 12歳以降は成人の発症率と大きな違いがないことが明らかになってきている. そのため, 近年日本においても児童思春期のうつ病が注目され, 診断される症例が増えてきているが, 一方で必ずしも適切に診断され...

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Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 61; no. 3; pp. 276 - 277
Main Author 齊藤卓弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本児童青年精神医学会 01.06.2020
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Summary:「児童思春期のうつ病」とは, DSM-5におけるうつ病(DSM-5)(以下, うつ病)を指すものである. 従来, 児童思春期の患者に成人と同様の基準で診断できるようなうつ病は存在しないと考えられていた. しかし, 1970年代後半から, 児童思春期においても成人の診断基準を満たすうつ病が存在することが明らかになった. 最近の疫学的報告では, うつ病の初発エピソードの頻度は12歳から急速に上昇し, 12歳以降は成人の発症率と大きな違いがないことが明らかになってきている. そのため, 近年日本においても児童思春期のうつ病が注目され, 診断される症例が増えてきているが, 一方で必ずしも適切に診断され, エビデンスに基づいた治療が行われているとは限らない. また治療のエビデンスは限られており, 成人のうつ病のエビデンスが必ずしも児童思春期のうつ病に外挿できないことが明らかになってきている.
ISSN:0289-0968