超音波凝固切開装置 (Harmonic Scalpel(R))を用いた浅側頭動脈剥離操作による安全性の組織学的検討

「目的」超音波凝固切開装置は, 高速の超音波振動により脂肪織のようなコラーゲン線維の少ない組織を細胞の膨化破裂で分解することで, 動脈表面の外膜ぎりぎりかつ外膜を損傷することなく露出できる特徴を有する. このため心臓外科の分野では内胸動脈や橈骨動脈等のバイパス血管の剥離(skeletonization)に応用され広く普及したが, 脳神経外科領域での使用報告は少ない. 以前よりわれわれはバイパス術で心臓外科で使用するバイパス血管より径の細い浅側頭動脈(superficial temporal artery:STA)の剥離操作に超音波凝固切開装置(Harmonic Scalpel(R), ジョンソ...

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Published inNeurosonology Vol. 29; no. 1; pp. 4 - 7
Main Authors 有本裕彦, 和田孝次郎, 高原喬, 大川英徳, 小野健一郎, 松熊晋, 佐藤仁哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経超音波学会 31.03.2016
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Summary:「目的」超音波凝固切開装置は, 高速の超音波振動により脂肪織のようなコラーゲン線維の少ない組織を細胞の膨化破裂で分解することで, 動脈表面の外膜ぎりぎりかつ外膜を損傷することなく露出できる特徴を有する. このため心臓外科の分野では内胸動脈や橈骨動脈等のバイパス血管の剥離(skeletonization)に応用され広く普及したが, 脳神経外科領域での使用報告は少ない. 以前よりわれわれはバイパス術で心臓外科で使用するバイパス血管より径の細い浅側頭動脈(superficial temporal artery:STA)の剥離操作に超音波凝固切開装置(Harmonic Scalpel(R), ジョンソン・エンド・ジョンソン, 東京)を利用してきた. その安全性評価につき今回組織学的検討を行ったので報告する. 「対象と方法」2012年1月より2014年2月の2年間, 当院において15症例の浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術において超音波凝固装置を用いた剥離操作を実施した.
ISSN:0917-074X