(II-P2-8)段階的なペースト食の物性評価

【目的】当園は重症心身障害児施設であり, 嚥下困難な利用者が約2割おり, このような利用者には常食をペースト状の食品に加工して提供することが多い. ペースト状食品には, 温かいものから冷たいものまで様々なものを, 利用者の状態に応じて3種類(ペーストA, ペーストB, ペーストC)に分類し提供している. 今回は, 利用者に最も人気のあるチキングラタンを用い, 3種類の物性を評価した. 【方法・結果】実験1~実験3まで3つの実験を行ない, その物性をクリープメーター(RE2-3305B)で測定した. ペースト食は, チキングラタンをブラウンマルチミックスM800でペースト状にしたもの(ペーストA...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 451 - 452
Main Authors 添田瑞恵, 安井良一, 山縣誉志江, 栢下淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2006
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】当園は重症心身障害児施設であり, 嚥下困難な利用者が約2割おり, このような利用者には常食をペースト状の食品に加工して提供することが多い. ペースト状食品には, 温かいものから冷たいものまで様々なものを, 利用者の状態に応じて3種類(ペーストA, ペーストB, ペーストC)に分類し提供している. 今回は, 利用者に最も人気のあるチキングラタンを用い, 3種類の物性を評価した. 【方法・結果】実験1~実験3まで3つの実験を行ない, その物性をクリープメーター(RE2-3305B)で測定した. ペースト食は, チキングラタンをブラウンマルチミックスM800でペースト状にしたもの(ペーストA), ペーストAにスープ4%を添加したもの(ペーストB), ペーストAにスープ8%添加したもの(ペーストC)の3種類を準備した. 実験1:チキングラタンはバターを使用しているため, 温冷配膳車で保管している際に物性が変化する. その影響を見るために実際の配膳車に保管する時間として30分~90分程度であるので, ペースト食Aを配膳車と同一条件にしたインキュベーターに入れる前, 30分保管後, 60分保管後, 90分保管後の物性を測定した. その結果, 30分保管することで, 使用しているバターがほぼ融解し, 柔らかい物性になることがわかった. 実験2:実験1で得られた知見を基に, インキュベーター30分保管後のペースト食Aとペースト前のチキングラタンの物性を比較した. チキングラタンのかたさは, 2397N/m2に対しペースト食Aのかたさは1315N/m2と柔らかくなっていることがわかった. 実験3:当園で実際に提供しているペーストA, ペーストB, ペーストCの比較をおこなった. インキュベーター30分保管後のかたさはA:1315N/m2, B:1140N/m2, C:965N/m2と175N/m2ずつの差があり, スープの添加量とかたさには高い相関があった.
ISSN:1343-8441