分画肺内にMycobacterium intracellulare感染を合併した肺葉内肺分画症の1例
要旨: 症例は33歳男性. 咳嗽を主訴に近医を受診, 肺炎として抗菌薬治療を行われたが改善なく, 胸部CTで右下葉に液体貯留を伴う嚢胞性病変の集簇と他葉に分布する散布性粒状影を指摘され精査・加療目的に当院へ転院となった. 胸部造影CTでは, 右下葉の病変部に腹部大動脈からの流入血管, 病変部より肺静脈への流出血管が描出され肺葉内肺分画症が示唆された. 喀痰および気管支洗浄液でMycobacterium intracellulareが陽性となった. 肺葉内肺分画症にM. intracellulare感染が合併したと判断し, clarithromycin (CAM), ethambutol (EB...
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Published in | 結核 Vol. 97; no. 6; pp. 335 - 339 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.09.2022
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 要旨: 症例は33歳男性. 咳嗽を主訴に近医を受診, 肺炎として抗菌薬治療を行われたが改善なく, 胸部CTで右下葉に液体貯留を伴う嚢胞性病変の集簇と他葉に分布する散布性粒状影を指摘され精査・加療目的に当院へ転院となった. 胸部造影CTでは, 右下葉の病変部に腹部大動脈からの流入血管, 病変部より肺静脈への流出血管が描出され肺葉内肺分画症が示唆された. 喀痰および気管支洗浄液でMycobacterium intracellulareが陽性となった. 肺葉内肺分画症にM. intracellulare感染が合併したと判断し, clarithromycin (CAM), ethambutol (EB)および, rifampicin (RFP)による多剤併用治療を導入したが, 短期間での改善に乏しく, 外科に相談し胸腔鏡下右下葉切除術, 気管支断端心膜脂肪織被覆術を実施した. 術後も3剤併用化学療法を継続したところ, 術後3カ月後には残存肺の粒状影は消退し, 術後1年間化学療法継続し再発なく経過している. |
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ISSN: | 0022-9776 |