子宮頸癌を合併しParadoxical Reactionを呈した結核性腹膜炎の1例

「要旨」 : 特に基礎疾患のない46歳女性. X年Y-1月下腹部痛を主訴に受診. CT検査で右胸水と多数の被包化腹水を認めた. 胸水はリンパ球優位の滲出性でADA 68.9IU/lと高値. 胸水抗酸菌検査は陰性だった. 血液検査ではCA125が283.4U/mlと高値であった. 確定診断のため腹腔鏡下腹膜生検を行い結核性腹膜炎と診断. 精査の過程で子宮頸癌 (ステージIB 1期) が診断されたが, 結核治療を優先してX年Y月RFP, INH, EB, PZAを開始した. X年Y+3月に術創部から抗酸菌塗抹陽性の滲出液がみられるようになり, CTでも腹水所見の悪化を認めた. 抗結核薬への感受性は...

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Published in結核 Vol. 98; no. 3; pp. 89 - 93
Main Authors 加藤千晶, 高桑修, 山羽悠介, 山田一貴, 吉原実鈴, 國井英治, 秋田憲志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.05.2023
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 特に基礎疾患のない46歳女性. X年Y-1月下腹部痛を主訴に受診. CT検査で右胸水と多数の被包化腹水を認めた. 胸水はリンパ球優位の滲出性でADA 68.9IU/lと高値. 胸水抗酸菌検査は陰性だった. 血液検査ではCA125が283.4U/mlと高値であった. 確定診断のため腹腔鏡下腹膜生検を行い結核性腹膜炎と診断. 精査の過程で子宮頸癌 (ステージIB 1期) が診断されたが, 結核治療を優先してX年Y月RFP, INH, EB, PZAを開始した. X年Y+3月に術創部から抗酸菌塗抹陽性の滲出液がみられるようになり, CTでも腹水所見の悪化を認めた. 抗結核薬への感受性は保たれていたことからParadoxical Reaction (PR) を考え結核治療を継続. その後, 腹水所見は改善に転じ滲出液の抗酸菌培養も陰性が確認された. 血清CA125も結核治療と一致して改善し結核による偽陽性を考えた. 子宮頸癌に対してはX 年Y+7月に放射線治療を実施. 結核治療は2年6カ月間で終了し経過観察中であるが, 結核・子宮頸癌ともに再発を認めていない. 子宮頸癌を合併し, 治療開始後にPRを生じた稀な結核性腹膜炎の1例を報告した.
ISSN:0022-9776