血管塞栓術並びにKTPレーザーが有用であった鼓室型グロームス腫瘍の1症例

「はじめに」 鼓室型グロームス腫瘍は, 中耳粘膜中のparaganglionから発生する良性腫瘍であるが, 周囲骨を浸潤破壊しながら増大する傾向にあり, 顔面神経麻痺をきたした例1),2)や頸静脈球や頭蓋底にまで進展した例3)の報告もある. 治療は原則として手術による完全摘出であるが, 血流が非常に豊富なため摘出時に大量出血する可能性がある. したがって, 術中の出血を軽減させるための対策が必要である. 近年の報告では, 術前に塞栓術が行われている症例が多く, いずれも塞栓術が術中の出血量の減少に有用であったと報告されている2),4),5). 今回我々も, 術前に塞栓術を行い, さらに術中にK...

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Published inOtology Japan Vol. 15; no. 2; pp. 166 - 170
Main Authors 河野浩万, 中島崇博, 清水順一, 外山勝浩, 春田厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳科学会 25.05.2005
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ISSN0917-2025

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Summary:「はじめに」 鼓室型グロームス腫瘍は, 中耳粘膜中のparaganglionから発生する良性腫瘍であるが, 周囲骨を浸潤破壊しながら増大する傾向にあり, 顔面神経麻痺をきたした例1),2)や頸静脈球や頭蓋底にまで進展した例3)の報告もある. 治療は原則として手術による完全摘出であるが, 血流が非常に豊富なため摘出時に大量出血する可能性がある. したがって, 術中の出血を軽減させるための対策が必要である. 近年の報告では, 術前に塞栓術が行われている症例が多く, いずれも塞栓術が術中の出血量の減少に有用であったと報告されている2),4),5). 今回我々も, 術前に塞栓術を行い, さらに術中にKTPレーザーを使用することにより, 少量の出血で腫瘍を摘出しえた症例を経験したので報告する. 「症例」 患者: 77歳, 女性. 主訴:めまい, 右難聴. 既往歴・家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:約3年前から難聴を自覚していたが, 放置していた.
ISSN:0917-2025