骨盤部の悪性骨軟部腫瘍の治療
「はじめに」骨盤部には,さまざまな悪性骨軟部腫瘍が発生する.近年,この部の悪性腫瘍に対しても,CTやMRIなど画像診断の発達により腫瘍浸潤の把握が比較的容易になったこと,さらに手術法の進歩や腫瘍用人工関節の開発などにより,患肢温存手術が行われるようになった2)3)4)8).しかし,ここには,周囲に生命維持に重要な役割を有する骨盤内臓器が存在しているため,腫瘍の発生部位によっては根治的な広範切除が困難なことが多い.また,術後の下肢機能は著しく障害されることがしばしばで,まだ治療上の問題点が多く残されている2)3).そこで我々は,骨盤部の悪性骨軟部腫瘍の治療結果につき臨床的検討を行った.「対象およ...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 1; pp. 34 - 37 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.03.1997
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」骨盤部には,さまざまな悪性骨軟部腫瘍が発生する.近年,この部の悪性腫瘍に対しても,CTやMRIなど画像診断の発達により腫瘍浸潤の把握が比較的容易になったこと,さらに手術法の進歩や腫瘍用人工関節の開発などにより,患肢温存手術が行われるようになった2)3)4)8).しかし,ここには,周囲に生命維持に重要な役割を有する骨盤内臓器が存在しているため,腫瘍の発生部位によっては根治的な広範切除が困難なことが多い.また,術後の下肢機能は著しく障害されることがしばしばで,まだ治療上の問題点が多く残されている2)3).そこで我々は,骨盤部の悪性骨軟部腫瘍の治療結果につき臨床的検討を行った.「対象および方法」1984年以降,当教室で外科的治療を行った寛骨発生の悪性骨腫瘍あるいは骨盤腔内に軟部肉腫が浸潤していた19例を対象にした(表1),手術時年齢は,14歳から78歳,平均47歳であった.悪性骨腫瘍17例のうち,原発性は7例でその内訳は骨肉腫3例,軟骨肉腫2例,MFH 1例,Ewing肉腫1例であった.転移性は10例で,骨転移巣はいずれも単発であった.悪性軟部腫瘍は2例で,横紋筋肉腫1例,MFH 1例であった. |
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ISSN: | 0037-1033 |