Threadwire saw(T-saw)を用いた頚髄腫瘍摘出術の経験

「はじめに」脊髄腫瘍を安全に摘出するには広い術野を確保することが必要である. そのため従来より椎弓切除術が広く行われてきた. しかし, その術後, 特に頚椎において不安定性や後弯などの変形が生じる症例の報告がなされ, 種々の術式の報告が散見されるようになった. 今回我々は上位頚髄腫瘍摘出に際し, threadwire saw(以下T-saw)を用い, 腫瘍摘出後に椎弓を完全に還納し良好な結果を得たので報告する. 術式について 富田らの開発したT-saw15)は骨切りが安全かつ簡便に行え, さらにその骨欠損量が少ないことが特徴である. われわれは脊髄症の手術にT-sawを用いた棘突起縦割式椎弓形...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 1; pp. 52 - 57
Main Authors 松本博文, 高下光弘, 吉田盛治, 平博文, 徳丸進一, 鳥巣岳彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」脊髄腫瘍を安全に摘出するには広い術野を確保することが必要である. そのため従来より椎弓切除術が広く行われてきた. しかし, その術後, 特に頚椎において不安定性や後弯などの変形が生じる症例の報告がなされ, 種々の術式の報告が散見されるようになった. 今回我々は上位頚髄腫瘍摘出に際し, threadwire saw(以下T-saw)を用い, 腫瘍摘出後に椎弓を完全に還納し良好な結果を得たので報告する. 術式について 富田らの開発したT-saw15)は骨切りが安全かつ簡便に行え, さらにその骨欠損量が少ないことが特徴である. われわれは脊髄症の手術にT-sawを用いた棘突起縦割式椎弓形成術を行っている. その際, 切離した棘突起に骨切り線が分からないほどの骨欠損量しか生じないことから脊髄腫瘍摘出術において切離した椎弓が完全に還納できるのではないかと今回の術式の考案に至った. 今回施行した2症例とも偏在性の腫瘍であったため腫瘍側の椎弓をT-sawで切離, 反対側の椎弓に骨溝を掘り, 片開きにして腫瘍を摘出した.
ISSN:0037-1033