自律神経機能評価法としてのSympathetic Skin Response (SSR)の経時的変化

求心性末梢神経を刺激することにより手掌, 足底の皮膚電位が変化する現象を捉えたSSRを用いて, 自律神経機能に障害を有していると考えられる7症例((1)ヒステリー, (2)脳血栓後不全麻痺, (3)胸椎黄色靱帯骨化症, (4)頸髄不全損傷, (6)(7)腰部脊柱管狭窄症)に対して経時的に検索した. 【方法】患者は室温25°~30℃の部屋で安静仰臥位をとり, 記録電極を両手掌部, 両足底部に貼布, 不関電極を両手背部, 両足背部に置き四肢のSSRを記録した. 刺激部位は(1)右手関節正中神経上, (2)前額部, (3)腹部, (4)右足関節脛骨神経上に0.2 msec, 15 mA矩形波電気刺激...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; p. 884
Main Authors 荒巻駿三, 大友啓資, 堀井基行, 岩波寿子, 久保俊一, 平沢泰介, 岩破康博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1992
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ISSN0034-351X

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Summary:求心性末梢神経を刺激することにより手掌, 足底の皮膚電位が変化する現象を捉えたSSRを用いて, 自律神経機能に障害を有していると考えられる7症例((1)ヒステリー, (2)脳血栓後不全麻痺, (3)胸椎黄色靱帯骨化症, (4)頸髄不全損傷, (6)(7)腰部脊柱管狭窄症)に対して経時的に検索した. 【方法】患者は室温25°~30℃の部屋で安静仰臥位をとり, 記録電極を両手掌部, 両足底部に貼布, 不関電極を両手背部, 両足背部に置き四肢のSSRを記録した. 刺激部位は(1)右手関節正中神経上, (2)前額部, (3)腹部, (4)右足関節脛骨神経上に0.2 msec, 15 mA矩形波電気刺激をランダムに与え, 潜時, 振幅について平均値を求めた. 【結果および考案】経時的変化をみると, 潜時については7症例のうち3症例(3)(6)(7)に潜時の短縮が認められた. この3症例の振幅をみると手術後, 右腓骨神経麻痺を合併した1例(6)を除いて振幅の増大が認められた. 3症例とも脊柱管拡大術を行っており, 手術の自律神経機能回復への影響が示唆された. また, 足の自律神経機能の改善に伴って手の機能が改善することは, SSRは体性交感神経反射の中でもA反射での延髄性反射であり, 手術により神経の促通が起こったものと推測されるが, 明らかでない. しかし臨床症状とあわせて経時的にSSRを測定することは, 感覚や運動では掌握できない小さい変化を捉える有用な方法だと考えられた. <質疑応答> 蜂須賀研二(産業医大):SSRの変化は病態の反映ですか, それとも再現性の問題ですか. 荒巻駿三:ヒステリーの症例でみたように, 器質的(病的)な変化がなくても, 精神的な因子, 運動量の減少等により変化する可能性があると考えられる.
ISSN:0034-351X