心房細動アブレーション中ピルシカイニド投与後に発生した心室細動を契機に診断された若年者のBrugada症候群の1例

《Abstract》症例は37歳, 男性. 過去に上室性期外収縮以外の心電図異常を指摘されたことはない. 発作性心房細動 (paroxysmal atrial fibrillation ; PAF) と診断され鎮静下でカテーテルアブレーションを施行した. 入室時洞調律であったが手技途中にAFになり両側肺静脈隔離, 非肺静脈起源への通電に加えて電気的除細動を数回行うも洞調律維持が困難であった. ピルシカイニド静脈注射を行ったところ直後よりV3-V6誘導でJ波が出現したとともに2秒程度の心室細動 (ventricular fibrillation ; VF) が発生した. AFのまま手技を終了し麻...

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Published in心臓 Vol. 56; no. 7; pp. 670 - 676
Main Authors 篠田明紀良, 古川善郎, 小林史明, 板橋史晴, 藤井将人, 高瀬哲郎, 市橋敬, 寺村真範, 旦一宏, 前田拓哉, 田中伸享
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.07.2024
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Summary:《Abstract》症例は37歳, 男性. 過去に上室性期外収縮以外の心電図異常を指摘されたことはない. 発作性心房細動 (paroxysmal atrial fibrillation ; PAF) と診断され鎮静下でカテーテルアブレーションを施行した. 入室時洞調律であったが手技途中にAFになり両側肺静脈隔離, 非肺静脈起源への通電に加えて電気的除細動を数回行うも洞調律維持が困難であった. ピルシカイニド静脈注射を行ったところ直後よりV3-V6誘導でJ波が出現したとともに2秒程度の心室細動 (ventricular fibrillation ; VF) が発生した. AFのまま手技を終了し麻酔から覚醒後, 一旦は意思疎通が可能であったが (E3V5M6), VFが発生しアドレナリン投与および3度の電気的除細動により自己心拍が再開した. ピルシカイニド投与24時間後の高位肋間のV1誘導でCoved型ST上昇を認め, Brugada症候群 (Brugada syndrome ; BrS) と診断した. 若年のAF患者ではBrSを合併している場合がありI群抗不整脈薬を投与する場合, 投与前に高位肋間での心電図記録と投与後の経時的な心電図の経過観察が有用である可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488