新規なB7系免疫補助刺激分子群の急性骨髄性白血病(AML)細胞における発現と機能

腫瘍細胞上に発現するB7分子が抗腫瘍免疫に影響を与える可能性が示唆されている. 急性骨髄性白血病(AML)や骨髄腫において, B7-2(CD86)陽性患者は陰性患者と比較し有意に生存期間が短く, 予後不良であると報告されているが, その機序については未だ明らかになっていない. 最近, B7 familyに属する新規の分子, B7-H1およびB7-H2がクローニングされ, 生体内の免疫制御や腫瘍, 自己免疫疾患における機能について報告されている. B7-H1はナイーブT細胞を補助刺激するが, 一方でPD-1receptorを介して活性化T細胞の増殖を抑制する. また, 我々は腫瘍細胞上に発現した...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; pp. 555 - 556
Main Author 田村秀人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:腫瘍細胞上に発現するB7分子が抗腫瘍免疫に影響を与える可能性が示唆されている. 急性骨髄性白血病(AML)や骨髄腫において, B7-2(CD86)陽性患者は陰性患者と比較し有意に生存期間が短く, 予後不良であると報告されているが, その機序については未だ明らかになっていない. 最近, B7 familyに属する新規の分子, B7-H1およびB7-H2がクローニングされ, 生体内の免疫制御や腫瘍, 自己免疫疾患における機能について報告されている. B7-H1はナイーブT細胞を補助刺激するが, 一方でPD-1receptorを介して活性化T細胞の増殖を抑制する. また, 我々は腫瘍細胞上に発現したB7-H1が腫瘍特異的T細胞をアポトーシスに誘導し, 腫瘍免疫を抑制することを報告した. B7-H2は, inducible costimulator(ICOS)のligandであり, メモリー;エフェクターT細胞の分化や増殖に重要な役割を果たしていると思われる. 本研究では, AML細胞におけるB7-H1およびB7-H2の発現とその意義について検討した. 【方法】1)多種造血器腫瘍細胞株(AML細胞株KG-1, HL-60, U937, Dami, K051;急性リンパ性白血病細胞株 Jurkat, BALL-1;慢性骨髄性白血病細胞株 K562, KU812, SAS413;骨髄異形成症候群から白血化した白血病細胞株OIH-1;B細胞性リンパ腫細胞株 KML-1)におけるB7-H1 mRNAおよびB7-H2 mRNAの発現をRT-PCR法で, さらに細胞表面上に発現したこれら新規B7分子群をマウス抗ヒトB7-H1およびB7-H2モノクローナル抗体を用いてflow cytometry(FCM)で解析した.
ISSN:1345-4676