非貴金属を利用したテレスコープ義歯の可能性

「緒言」予防歯学的配慮から近年では可撤性補綴物の設計にミリングテクニックが数多くとりいれられるようになってきた. しかし, 従来からミリングテクニックは適合性や可削性などの問題からADA Typy IVの金合金が適応する金属とされており, 患者の経済的負担, 技工操作性, 資源の確保などから他の金属による解決策をせまられている現状である. これに代る合金としてCo-CrやNi-Crなどの非貴金属がミリングテクニックに応用されつつあるが, これらの金属は大きな鋳造収縮, 切削能率の悪さ, 研磨などの技工操作の困難さなど数々の問題を抱えている. しかし, ADA Type IVの金合金と比較し機械...

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Published in神奈川歯学 Vol. 22; no. 2; pp. 401 - 408
Main Authors 植木正実, 木村朗, 石田正博, 藤澤国興, 清水洋, 日笠不二夫, 松尾悦郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.09.1987
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」予防歯学的配慮から近年では可撤性補綴物の設計にミリングテクニックが数多くとりいれられるようになってきた. しかし, 従来からミリングテクニックは適合性や可削性などの問題からADA Typy IVの金合金が適応する金属とされており, 患者の経済的負担, 技工操作性, 資源の確保などから他の金属による解決策をせまられている現状である. これに代る合金としてCo-CrやNi-Crなどの非貴金属がミリングテクニックに応用されつつあるが, これらの金属は大きな鋳造収縮, 切削能率の悪さ, 研磨などの技工操作の困難さなど数々の問題を抱えている. しかし, ADA Type IVの金合金と比較し機械的強度, 比重などに優れ, 陶材焼付可能などの長所が認められるが, 前述の問題点から現状では金属自体の性質の改良と共に埋没材や切削工具の開発が急務とされている. 今回我々は, 3 2 1 」欠損の症例についてNi-Crを使用したパラレロテレスコープによる可撤性ブリッジを製作し, この症例を通じて通法によるNi-Cr合金のミリングの可能性を追求しながら, 約5年間の予後を観察し良好な経過がみられたので報告した.
ISSN:0454-8302