単独分岐のB6を巻き込んで形成されたMirizzi症候群 (総肝管胆嚢瘻) の1例

「要旨」 : 症例は72歳男性. 急性胆管炎による敗血症性ショックの診断で当院消化器内科へ入院した. CT検査で20mm径の結石が三管合流部の高さに嵌頓したことによる胆管炎が疑われ, 緊急ERCPを施行したが結石除去は困難であった. ERCPやMRCP, DIC-CT所見からは総肝管胆嚢瘻を伴ったMirizzi症候群が疑われた. B2にERBD tubeを留置し, 抗生剤および昇圧剤投与により胆管炎は軽快した. 本症例は8年前にも総胆管結石性胆管炎で加療を受けており, 当時のERCPでB6単独分岐型の破格を認めていたが, 今回のMRCPおよびDIC-CTではこのB6分岐部が明らかでなく, 同部...

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Published in胆道 Vol. 37; no. 5; pp. 873 - 879
Main Authors 武井沙樹, 竹下明子, 森谷敏幸, 高木慎也, 佐藤英之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.12.2023
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Summary:「要旨」 : 症例は72歳男性. 急性胆管炎による敗血症性ショックの診断で当院消化器内科へ入院した. CT検査で20mm径の結石が三管合流部の高さに嵌頓したことによる胆管炎が疑われ, 緊急ERCPを施行したが結石除去は困難であった. ERCPやMRCP, DIC-CT所見からは総肝管胆嚢瘻を伴ったMirizzi症候群が疑われた. B2にERBD tubeを留置し, 抗生剤および昇圧剤投与により胆管炎は軽快した. 本症例は8年前にも総胆管結石性胆管炎で加療を受けており, 当時のERCPでB6単独分岐型の破格を認めていたが, 今回のMRCPおよびDIC-CTではこのB6分岐部が明らかでなく, 同部位も瘻孔に巻き込まれている可能性が示唆された. 上記の所見から, 手術はB6を確実に温存する術式を選択することとし, 開腹胆嚢部分切除術を施行した. 術後胆管狭窄なく経過は良好であった.
ISSN:0914-0077