右房内に発生した無症候性の心臓脂肪腫に対して外科的切除を施行した1例
《Abstract》 心臓脂肪腫は原発性心臓腫瘍の8.4%を占める比較的稀な疾患であり, その多くは無症状で経過する. 無症候性の心臓脂肪腫に対しては経過観察が選択される場合もある. 症例は54歳女性. 腹痛を主訴に救急外来を受診し, 精査目的の造影CT検査にて右房内腫瘍を偶発的に指摘され当科紹介. 心臓MRI検査にて下大静脈入口部を基部とする30×22mm大の脂肪腫の診断となり手術の方針となった. 上行大動脈送血・上大静脈脱血により人工心肺を開始後, 右大腿静脈から下大静脈脱血を追加した. 右房切開後, 心房中隔と下大静脈後壁および左房下壁を一塊に摘出し, ウシ心膜パッチを用いて欠損部を閉鎖...
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Published in | 心臓 Vol. 55; no. 11; pp. 1119 - 1125 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団・日本循環器学会
15.11.2023
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | 《Abstract》 心臓脂肪腫は原発性心臓腫瘍の8.4%を占める比較的稀な疾患であり, その多くは無症状で経過する. 無症候性の心臓脂肪腫に対しては経過観察が選択される場合もある. 症例は54歳女性. 腹痛を主訴に救急外来を受診し, 精査目的の造影CT検査にて右房内腫瘍を偶発的に指摘され当科紹介. 心臓MRI検査にて下大静脈入口部を基部とする30×22mm大の脂肪腫の診断となり手術の方針となった. 上行大動脈送血・上大静脈脱血により人工心肺を開始後, 右大腿静脈から下大静脈脱血を追加した. 右房切開後, 心房中隔と下大静脈後壁および左房下壁を一塊に摘出し, ウシ心膜パッチを用いて欠損部を閉鎖した. 遺残短絡や僧帽弁逆流がないことを確認し手術終了とした. 現在, 心臓脂肪腫に対する治療方針は明確に定められていないが, 腫瘍の発生部位や進展に伴う合併症の報告があるため, 無症候性の心臓脂肪腫に対しても外科的切除が推奨されている. 今回我々は, 右房内に発生した無症候性の心臓脂肪腫に対して外科的切除を施行した1例を経験したため報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 |