心臓外科領域における成分輸血

はじめに 成分輸血法は外科系の各分野において広く利用される様になり心臓外科領域においても新鮮血供血者を準備する必要がなく緊急手術にも充分適応出来るという利点が認められている1). しかし一方ではFFPの需要の急増に比し赤血球の利用が少ない事が指摘され, 全血輸血に比べて術後肝炎が増加している等問題点が明らかになって来ており, その対策の急がれる所である. 開心術における成分輸血法 1977年以来開心術に各種成分を利用する方法を試み既に200例を経験したが, 体外循環を用いる開心術では人工心肺へ充填するCRC又は洗源赤血球については循環Ht値の平均を25%とし, 膠質浸透圧の保持や組織浮腫防止の...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 114 - 115
Main Authors 信岡亘, 小西理雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1986
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ISSN0546-1448

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Summary:はじめに 成分輸血法は外科系の各分野において広く利用される様になり心臓外科領域においても新鮮血供血者を準備する必要がなく緊急手術にも充分適応出来るという利点が認められている1). しかし一方ではFFPの需要の急増に比し赤血球の利用が少ない事が指摘され, 全血輸血に比べて術後肝炎が増加している等問題点が明らかになって来ており, その対策の急がれる所である. 開心術における成分輸血法 1977年以来開心術に各種成分を利用する方法を試み既に200例を経験したが, 体外循環を用いる開心術では人工心肺へ充填するCRC又は洗源赤血球については循環Ht値の平均を25%とし, 膠質浸透圧の保持や組織浮腫防止の立場から総蛋白量は5g/dlを切らない様にFFP時にalbuminを充填している. 術後は出血と心不全に対する対策が中心で血漿浸透圧の維持, 凝固因子の補給の為, FFP, PC等を適応を厳密に投与している. 無輸血開心術の不可能な体重20kg以下の症例について, 全血群と成分群各20例について各種成分使用量を比較すると体外循環時間に関係なくFFPの使用量は全血群に比べ有意差を以って節減出来たが術後肝炎は全血群5%に比し成分群は20%であった. これらの詳細は前回の本学会のシンポジウム「適正な輸血」2)において報告した通りである. 今回は開心術症例の体重20kg以下の小児例24例を, 重症度によって三群に分け, 成分輸血法, 使用量及び術後肝炎について比較検討した.
ISSN:0546-1448