乳歯中の微量元素ならびにそのう蝕経験との関係について
「はじめに」歯質中のフッ素(F)含有量およびその歯質内での分布状態が, う蝕との関連において興味をもたれるようになって以来, その他の微量元素も注目を浴びるようになってきた. これは, Brudevoldら, Soremarkら, Nixonをはじめとするいくつかの業績がその端緒になったものである. 歯質中のFがう蝕抵抗性を増大させるという画期的な所見の報告以来, 多くの疫学的および臨床的業績とあいまって, Fによるう蝕予防方法は確固たる地位を築いている. このほか, Fとの共同作用によりモリブデン(Mo)がう蝕抑制効果を示しうることを示唆した研究や, 逆にセレニウム(Se)がう蝕を増発させる...
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Published in | 神奈川歯学 Vol. 13; no. 3; pp. 144 - 160 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
神奈川歯科大学学会
30.12.1978
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ISSN | 0454-8302 |
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Summary: | 「はじめに」歯質中のフッ素(F)含有量およびその歯質内での分布状態が, う蝕との関連において興味をもたれるようになって以来, その他の微量元素も注目を浴びるようになってきた. これは, Brudevoldら, Soremarkら, Nixonをはじめとするいくつかの業績がその端緒になったものである. 歯質中のFがう蝕抵抗性を増大させるという画期的な所見の報告以来, 多くの疫学的および臨床的業績とあいまって, Fによるう蝕予防方法は確固たる地位を築いている. このほか, Fとの共同作用によりモリブデン(Mo)がう蝕抑制効果を示しうることを示唆した研究や, 逆にセレニウム(Se)がう蝕を増発させるという研究などがあるが, 実験動物や疫学による研究結果では, 必ずしも立証されているわけではない. 一方, 歯質中の微量元素の種類, 含有量, 分布などに関してもいくつかの業績がみられる. |
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ISSN: | 0454-8302 |