沖縄県内で分離された Streptococcus agalactiae (GBS) の薬剤感受性とペニシリン低感受性株の検出状況

「要旨」沖縄県内の医療機関で分離された Streptococcus agalactiae (GBS)の各種抗菌薬に対する薬剤感受性率およびペニシリン低感受性GBS(Group B Streptococci with reduced penicillin susceptibility: PRGBS)等, 耐性株の分離率について調査を行った. 対象は2014年から2016年までの3年間に各種臨床材料由来のGBS 10,870株とした. GBSのPCGの感受性率は2014年78.9%, 2015年78.1%, 2016年81.0%とJANIS(2014 - 2016年: 93.1 - 94.3%)と...

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Published in医学検査 Vol. 69; no. 3; pp. 424 - 431
Main Authors 上地幸平, 西山直哉, 大城健哉, 八幡照幸, 上地あゆみ, 藤田次郎, 前田士郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2020
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Summary:「要旨」沖縄県内の医療機関で分離された Streptococcus agalactiae (GBS)の各種抗菌薬に対する薬剤感受性率およびペニシリン低感受性GBS(Group B Streptococci with reduced penicillin susceptibility: PRGBS)等, 耐性株の分離率について調査を行った. 対象は2014年から2016年までの3年間に各種臨床材料由来のGBS 10,870株とした. GBSのPCGの感受性率は2014年78.9%, 2015年78.1%, 2016年81.0%とJANIS(2014 - 2016年: 93.1 - 94.3%)と比較して低く, 沖縄県ではPRGBSの分離率が全国に比べて有意に高かった(p<0.01). 特に, PRGBSは呼吸器系検体(2016年: 56.3%)および60歳以上の高齢者から多く分離されていた(p<0.01). また, PRGBSの分離率には施設間差が認められた. PRGBSはセファロスポリン系抗菌薬やエリスロマイシン, レボフロキサシンなど複数の抗菌薬に耐性を示しており, 2016年ではPRGBSの94.4%が多剤耐性を示した. 沖縄県内の医療機関で分離されるGBSはペニシリンに対して低感受性を示し, PRGBSは多剤耐性傾向を示すことが本調査によって示された. 今後は血清学的, 遺伝子学的手法を用いたより詳細な解析が必要であると考える.
ISSN:0915-8669