非結核性抗酸菌 (NTM) 症治療薬として再注目されるクロファジミンに関する基礎研究の最新知見

「要旨」: 1950年代に抗結核作用が見出されたクロファジミン(clofazimine: CFZ)は, 他の抗結核薬に比べ抗菌活性が弱いと判断され結核治療にはあまり用いられず, 主にハンセン病治療薬として用いられてきた. しかし近年, 治療薬の選択肢が限られる非結核性抗酸菌(NTM)症治療における切り札として再注目されている. 現在NTM症に対してCFZが使用されるようになってきているものの, CFZを含めた治療レジメンの選択はまだ発展段階と言える. 薬剤特性に関しては, ハンセン病の治療薬としての歴史も相まって投与方法や副作用などの知見が確立されている. また, CFZ耐性に関与する薬剤排出...

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Published in結核 Vol. 99; no. 4; pp. 99 - 104
Main Authors 伊藤駿, 武藤義和, 港雄介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.05.2024
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 1950年代に抗結核作用が見出されたクロファジミン(clofazimine: CFZ)は, 他の抗結核薬に比べ抗菌活性が弱いと判断され結核治療にはあまり用いられず, 主にハンセン病治療薬として用いられてきた. しかし近年, 治療薬の選択肢が限られる非結核性抗酸菌(NTM)症治療における切り札として再注目されている. 現在NTM症に対してCFZが使用されるようになってきているものの, CFZを含めた治療レジメンの選択はまだ発展段階と言える. 薬剤特性に関しては, ハンセン病の治療薬としての歴史も相まって投与方法や副作用などの知見が確立されている. また, CFZ耐性に関与する薬剤排出ポンプの同定や, CFZと相乗効果を示す抗菌薬の組み合わせがいくつか同定されるなど, 基礎研究の領域においても一定の進捗がみられるが, CFZの作用機序に関しては現在でも確定的な説は存在しない. 本総説では, CFZの作用機序や耐性機構, 薬物相互作用などについて最新の知見を紹介する.
ISSN:0022-9776