Antidiuretic hormone分泌異常症候群(SIADH)を呈した肺結核の1例

「要旨」症例は67才の男性で, 全身倦怠感, 37℃台の発熱, 体重減少を主訴に, 肺結核を疑われて入院. Na投与に反応しない低Na血症を呈し, 精査の結果, 肺結核に合併したSIADHと診断. 3者併用による化学療法と水摂取制限により治癒せしめた. antidiuretic hormone分泌異常症候群(以下「SIADH」)は1957年Schwartzら1)によって初めて報告された. 以来SIADHと同じ病態が悪性腫瘍に限らず, 種々の疾患, 薬剤によって惹起されることが明らかにされ, 多数の報告がみられるようになってきた. その中でも非悪性肺疾患に合併した報告はまれである. 今回我々はS...

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Published in医療 Vol. 42; no. 12; pp. 1187 - 1191
Main Authors 西野聡, 佐々木稔, 縄田万寿美, 木全康良, 松下捷彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立医療学会 01.12.1988
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Summary:「要旨」症例は67才の男性で, 全身倦怠感, 37℃台の発熱, 体重減少を主訴に, 肺結核を疑われて入院. Na投与に反応しない低Na血症を呈し, 精査の結果, 肺結核に合併したSIADHと診断. 3者併用による化学療法と水摂取制限により治癒せしめた. antidiuretic hormone分泌異常症候群(以下「SIADH」)は1957年Schwartzら1)によって初めて報告された. 以来SIADHと同じ病態が悪性腫瘍に限らず, 種々の疾患, 薬剤によって惹起されることが明らかにされ, 多数の報告がみられるようになってきた. その中でも非悪性肺疾患に合併した報告はまれである. 今回我々はSIADHを呈した肺結核の1例を経験し, 化学療法と水摂取制限により治癒せしめたので, その臨床経過を中心に, 若干の文献的考察を加え報告する. 「症例」症例: 67才, 男性, 農業. 主訴: 全身倦怠感, 発熱, 体重減少. 家族歴, 既往歴: 特記すべきことなし. 現病歴: 昭和61年5月下旬より全身倦怠感と37度台の発熱が出現した. 近医受診し胸部X線写真にて異常を指摘され, 同年6月19日某病院へ紹介入院となった. 精査の結果, 肺結核を疑われて, 同年7月14日当院へ転院となった. なお1ヵ月間で約4kgの体重減少を認めた.
ISSN:0021-1699