頭蓋底骨欠損が自然閉鎖した中耳真珠腫症例

「はじめに」中耳真珠腫は時にその増大により側頭骨を破壊し, 頭蓋内へ進展することがある. 今回私共は, このような症例の第2段階手術において, 当初存在していた頭蓋底の骨欠損が自然閉鎖し, かつ頭蓋内の真珠腫が中耳側へ排出されていた小児の1例を経験したので報告する. 「症例」症例:11歳, 男児. 主訴:右耳漏, 難聴. 家族歴:特記すべき事なし. 既往歴:アトピー性皮膚炎(1歳半~3歳頃迄). 気管支喘息(3歳~4歳頃迄). アレルギー性鼻炎. 現病歴:小学1年時(2000年)の学校健診で, 右耳の聴力低下が指摘されていた. 2002年7月頃から, 右滲出性中耳炎の診断で, 近医の耳鼻咽喉科...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inOtology Japan Vol. 18; no. 1; pp. 52 - 58
Main Authors 長谷川達哉, 鈴木衞, 高田大輔, 中村珠理, 河口幸江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳科学会 21.03.2008
Online AccessGet full text
ISSN0917-2025

Cover

More Information
Summary:「はじめに」中耳真珠腫は時にその増大により側頭骨を破壊し, 頭蓋内へ進展することがある. 今回私共は, このような症例の第2段階手術において, 当初存在していた頭蓋底の骨欠損が自然閉鎖し, かつ頭蓋内の真珠腫が中耳側へ排出されていた小児の1例を経験したので報告する. 「症例」症例:11歳, 男児. 主訴:右耳漏, 難聴. 家族歴:特記すべき事なし. 既往歴:アトピー性皮膚炎(1歳半~3歳頃迄). 気管支喘息(3歳~4歳頃迄). アレルギー性鼻炎. 現病歴:小学1年時(2000年)の学校健診で, 右耳の聴力低下が指摘されていた. 2002年7月頃から, 右滲出性中耳炎の診断で, 近医の耳鼻咽喉科診療所で治療を開始. 当初は鼓膜切開等の治療でその都度病状は改善していたが反復するため, 同年10月に同耳に鼓膜チューブを挿入した. しかし1か月後にはチューブは自然脱落した. その後も右鼓膜の混濁は持続していたが, 通気は良好とのことであった.
ISSN:0917-2025