扁桃上窩部に生じたリンパ上皮性嚢胞の1症例

「緒言」リンパ上皮性嚢胞は一般に側頸部に好発し, 口腔粘膜に発生することは比較的まれであるといわれている. しかも口腔内においては舌下面もしくは口底部に生じることが多い. 本嚢胞は口腔粘膜に存在する小扁桃の扁桃窩が閉塞, 拡大した偽嚢胞であるとする説が有力視されているが, Waldeyer's ring付近に発生したとする報告は非常に少ない. 今回われわれは扁桃上窩部に生じた本嚢胞の1例を経験したので, その概要を報告する. 「症例」患者:45歳男性. 初診:1988年7月13日. 主訴:右側扁桃上窩部の腫瘤. 家族歴・既往歴:特記事項なし. 現病歴:約4ヵ月前, う蝕治療のため歯科...

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Published in神奈川歯学 Vol. 24; no. 3; pp. 543 - 548
Main Authors 松本剛一, 湯川善弘, 篠塚和明, 伊吹千夏, 檀上修, 小林晋一郎, 進藤潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.1989
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Summary:「緒言」リンパ上皮性嚢胞は一般に側頸部に好発し, 口腔粘膜に発生することは比較的まれであるといわれている. しかも口腔内においては舌下面もしくは口底部に生じることが多い. 本嚢胞は口腔粘膜に存在する小扁桃の扁桃窩が閉塞, 拡大した偽嚢胞であるとする説が有力視されているが, Waldeyer's ring付近に発生したとする報告は非常に少ない. 今回われわれは扁桃上窩部に生じた本嚢胞の1例を経験したので, その概要を報告する. 「症例」患者:45歳男性. 初診:1988年7月13日. 主訴:右側扁桃上窩部の腫瘤. 家族歴・既往歴:特記事項なし. 現病歴:約4ヵ月前, う蝕治療のため歯科医院を受診した際, 右側扁桃上窩部の腫瘤を指摘され来院した. 自覚症状なく, いつから腫瘤が発生したのか患者自身がまったく自覚していない. 現症:右側口蓋扁桃の上方, 口蓋舌弓と蓋咽頭弓の間に黄色白, 直径約6mmの球状の腫瘤を認めた. 周囲組織との境界は明瞭で被覆粘膜は白色を呈しているが, びらん, 潰瘍などの異常はない.
ISSN:0454-8302