気管支結核症の臨床的検討

気管支結核の早期診断のための要点を検討する【対象】'92年6月から'02年12月までの間に, 当院で活動性気管気管支結核と診断された15~86歳の41例(男性16例, 女性25例)の臨床像を検討した【結果】発見動機は有自覚症状が37例, 検診, 他疾患精査が各例であり, 無症状の2例を除く主な症状は咳嗽, 喀痰, 発熱である. 受診の遅れ1ヵ月超が18例, 診断の遅れ1ヵ月超が20例あり, 初診時に気管支炎や気管支喘息と診断された例で遅れが目立つ. 入院時の臨床検査では, 高い排菌陽性率, 赤沈の亢進, ツ反陽性を除き, 異常値は少ない. 入院時の画像所見は軽症例が多く,...

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Published in気管支学 Vol. 26; no. 3; p. 261
Main Authors 倉澤卓也, 佐藤敦夫, 中谷光一, 池田雄史, 小栗晋, 朝倉庄司, 一瀬増太郎, 鹿島祥隆, 游逸明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 10.05.2004
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Summary:気管支結核の早期診断のための要点を検討する【対象】'92年6月から'02年12月までの間に, 当院で活動性気管気管支結核と診断された15~86歳の41例(男性16例, 女性25例)の臨床像を検討した【結果】発見動機は有自覚症状が37例, 検診, 他疾患精査が各例であり, 無症状の2例を除く主な症状は咳嗽, 喀痰, 発熱である. 受診の遅れ1ヵ月超が18例, 診断の遅れ1ヵ月超が20例あり, 初診時に気管支炎や気管支喘息と診断された例で遅れが目立つ. 入院時の臨床検査では, 高い排菌陽性率, 赤沈の亢進, ツ反陽性を除き, 異常値は少ない. 入院時の画像所見は軽症例が多く, 肺野に病変を認めない例もある. 病変の分布は慢性肺結核症とはやや異なり, 下肺野結核も稀ではない. 気管支鏡により確認された中枢気道の病変部位は気管10例, 右主気管支8例, 左主気管支15例などであり, 発病から診断までに長期間を要した患者ではより中枢部への進展や横断面的広がりの進展した例が多く認められた. 治療は肺結核同様の化学療法にて排菌は順調に陰性化したが, 一部に中枢気道の著しい狭窄や閉塞が遺残した【結語】排菌率が高く病巣の進展に伴い中枢気道に後遺症を生じ得る気管支結核の早期診断の診断の要点は, まず, 気管支結核症を知ることであり, 慢性結核症と異なる病態を理解し, 細心の画像診断を心がけ, 抗酸菌検査を励行することである.
ISSN:0287-2137