ヒト乳歯および永久歯歯根膜由来線維芽細胞に関する細胞生化学的研究 - 細胞増殖と分化に対するretinoic acidおよび機械的外力の影響について
「緒言」 健全な咬合の育成ならびに口腔機能の獲得を目的とする小児歯科学領域において, 成長発育の過程での歯および歯周組織の形成と改造の現象を細胞生物学的に解明することは必要不可欠である. 歯周組織の一部を構成する歯根膜は咬合や咀嚼による機械的外力を歯から顎骨へと伝達する重要な組織であり, 歯根の形成や歯の萌出に関与していると考えられる. 特に乳歯歯根膜は歯根の形成と吸収, 歯の萌出に伴う乳歯歯周組織の変化, さらに成長発育の過程における歯槽骨の形態変化の際にも, 直接あるいは関接的に重要な役割を果たしている. したがって, 乳歯歯根膜組織が関与すると考えられる現象に影響を与える困子を同定するた...
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Published in | 神奈川歯学 Vol. 28; no. 4; pp. 440 - 451 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
神奈川歯科大学学会
30.03.1994
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ISSN | 0454-8302 |
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Summary: | 「緒言」 健全な咬合の育成ならびに口腔機能の獲得を目的とする小児歯科学領域において, 成長発育の過程での歯および歯周組織の形成と改造の現象を細胞生物学的に解明することは必要不可欠である. 歯周組織の一部を構成する歯根膜は咬合や咀嚼による機械的外力を歯から顎骨へと伝達する重要な組織であり, 歯根の形成や歯の萌出に関与していると考えられる. 特に乳歯歯根膜は歯根の形成と吸収, 歯の萌出に伴う乳歯歯周組織の変化, さらに成長発育の過程における歯槽骨の形態変化の際にも, 直接あるいは関接的に重要な役割を果たしている. したがって, 乳歯歯根膜組織が関与すると考えられる現象に影響を与える困子を同定するためには, 乳歯および永久歯歯根膜組織由来の培養細胞を用いて両者の細胞生物学的相違を検索することが必要である. Saito, Kawaseらは歯根膜組織のexplantによりヒト永久歯歯根膜線維芽細胞(HPLF)の培養系を樹立し, その細胞生物学的性質の検索を行い, HPLFはvitamin D dependentに発現するalkaline phosphatase (ALPase)を産生することを報告した. |
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ISSN: | 0454-8302 |