(II-P2-12)PEG患者における濃厚流動食用増粘剤リフラノンを使用した栄養剤固形化の試み
【目的】重度の嚥下障害症例や, 遷延する嚥下障害患者に対する経皮内視鏡的胃ろう造設術(以下PEGとする)の実施症例は, 当院でも増えている. PEG管理において, 特に胃食道逆流は, 誤嚥性肺炎を発症させ, 経腸栄養の継続・増量を妨げ, 患者の全身状態の悪化とともに入院期間を延長させることになるので, その対応策として近年栄養剤の固形化が行なわれ, 数々の報告がみられる. 今回我々は濃厚流動食用固形化補助食品リフラノンを使用し良好な経過が得られた症例を報告する. 【症例】76歳, 男性. 脳梗塞にて入院後重度嚥下障害のため, 経鼻胃管にて栄養剤の注入を開始したが, 注入に関連して下痢・痰がらみ...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 453 - 454 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2006
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【目的】重度の嚥下障害症例や, 遷延する嚥下障害患者に対する経皮内視鏡的胃ろう造設術(以下PEGとする)の実施症例は, 当院でも増えている. PEG管理において, 特に胃食道逆流は, 誤嚥性肺炎を発症させ, 経腸栄養の継続・増量を妨げ, 患者の全身状態の悪化とともに入院期間を延長させることになるので, その対応策として近年栄養剤の固形化が行なわれ, 数々の報告がみられる. 今回我々は濃厚流動食用固形化補助食品リフラノンを使用し良好な経過が得られた症例を報告する. 【症例】76歳, 男性. 脳梗塞にて入院後重度嚥下障害のため, 経鼻胃管にて栄養剤の注入を開始したが, 注入に関連して下痢・痰がらみが続き, 嘔吐が度々あり, 誤嚥性肺炎を起こした. PEG造設後も嘔吐がたびたび起こり, 注入に関連した胃食道逆流によるものと判断された. 経腸栄養剤サンエットSA400mlにリフラノン100gを用いて固形化したもの(粘度19,000mPa・s)と, 水分補給にはトロミをつけた白湯を注入するようにしたところ, その後転院までの9日間は嘔吐発熱なく, 誤嚥性肺炎の発症は認められず, 下痢も改善された. 【考察】リフラノンを使用することで, 患者においては胃食道逆流症が明らかに抑制され, 誤嚥性肺炎は発症せず, さらに便性状の改善効果が得られた. 看護師においては, これまで報告されてきている寒天による固形化と比較して, 固形化手順に熱源・加熱を必要としないため病棟で安全に使用でき, また室温で短時間攪拌することで, 適切な固形化状態が得られ, さらに注入にかかる時間も短縮され看護負担が軽減された. また, 注入にかかる時間の短縮は褥瘡発生のリスクを減らし, 患者の精神的苦痛を軽減し, リハビリなど他の活動に時間を使うことが出来るようになり, 患者のQOL向上に寄与すると期待された. |
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ISSN: | 1343-8441 |