診療機能の質の評価と経済効率

• Published in: 医療 Vol. 47; no. 6; pp. 417 - 419
• Main Author: 上原鳴夫
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 国立医療学会 01.06.1993
• ISSN: 0021-1699

「診療の質」を評価するには次の要素が明らかにされる必要がある. 何のために評価するのか, 何をもって質と考えるか, 評価に必要なデータ(評価の対象), 評価の指標, そして評価に用いられるスタンダードと判断基準, である. 医療における質の評価の概念を集大成したドナベディアン教授は, 質の評価の対象をStructure, Process, Outcomeに大別した. ストラクチュアとは施設の建物, 設備機材, 職員, 運営機構, 組織体制など, 効果的な診療を行うために必要な体制を指し, その病院はどの程度の質の医療を提供できるか, という病院のキャパシティを示すものである. プロセスとは望ましいアウトカムを得るために必要なケアやサービスのことで, 実際に実施された業務や医療行為を指す. アウトカムとは医療によってもたらされた患者の健康状態の変化を示すものである. 病院開設の認可や各種の病院認定, 専門医の認定も, 通常はストラクチュアにもとづいており, それはデータが得られやすく, 評価がやりやすく, また評価にかかるコストが少なくてすむ, という利点があるからである.