ドックで見逃されやすい心疾患の検査所見

• Published in: 人間ドック Vol. 23; no. 5; pp. 1171 - 1196
• Main Author: 日浅芳一
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本人間ドック学会 31.03.2009
• ISSN: 1880-1021

「はじめに」心疾患の検査所見は, 胸部写真や心電図で判断しますが, 今日は心電図を主にお話をさせて頂きます. 私が徳島に帰ってまいりまして4年間は, 森博愛先生という心電図の大家のもとで勉強させて頂きました. その経験から, 現在専門の冠インターベンションをしながらも, 冠インターベンションと心電図とをいつも対比して考える習慣がついていました. 心電図は非常に安価で, すぐに検査ができるし, お金の負担も少ないし, 非常に便利で価値の高い検査法だと思います. 現在, 徳島赤十字病院で研修医の責任者をやっていますが, この頃の若い医師は心電図をすごく軽視するので, 心電図を教えるために研修医を教育しているような日々です. 今日は, そういう目で心電図のいろいろな見逃しやすいことをお話しさせて頂きたいと思います. 「心電図所見と心疾患」検診でいちばん多く出てくるのは, 虚血性心疾患, 特に見逃してはいけないのは心筋梗塞と思います. 心筋梗塞の特徴的所見は異常Q波, ST上昇, 左右対称性の深い陰性のT波, いわゆる冠性T波と言われています(スライド1).