四肢麻痺をきたした頚胸椎結核性脊椎炎の1症例

「はじめに」結核性脊椎炎は, 胸椎, 腰椎に発生することが多く, 頚椎, 頚胸椎の発生は2~5%と報告されており2), その頻度はそれほど多くない. 今回, 四肢麻痺をきたした頚胸椎移行部の結核性脊椎炎に対して, 前方からの病巣掻爬, 骨移植および後方固定術を行い, 良好な治療成績が得られたので報告する. 症例 69歳, 女性. 【現病歴】平成8年12月より, 両上肢の脱力と筋萎縮を主訴に近医へ通院していた. 平成9年1月より, 下肢の脱力を自覚し, 当科を紹介された. 初診時, 両上下肢とも筋力は軽度低下していたが, 知覚障害は認めず, 巧緻運動障害, 膀胱直腸障害とも認めなかった. 下肢の...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 48; no. 2; pp. 647 - 650
Main Authors 園田広典, 平川敬, 高下光弘, 八塚知二, 熊木光包
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1999
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Summary:「はじめに」結核性脊椎炎は, 胸椎, 腰椎に発生することが多く, 頚椎, 頚胸椎の発生は2~5%と報告されており2), その頻度はそれほど多くない. 今回, 四肢麻痺をきたした頚胸椎移行部の結核性脊椎炎に対して, 前方からの病巣掻爬, 骨移植および後方固定術を行い, 良好な治療成績が得られたので報告する. 症例 69歳, 女性. 【現病歴】平成8年12月より, 両上肢の脱力と筋萎縮を主訴に近医へ通院していた. 平成9年1月より, 下肢の脱力を自覚し, 当科を紹介された. 初診時, 両上下肢とも筋力は軽度低下していたが, 知覚障害は認めず, 巧緻運動障害, 膀胱直腸障害とも認めなかった. 下肢の深部腱反射は亢進していた. 1週間後, 突然歩行不能となり入院となった. 【既往歴】30歳時に, 肺結核の治療歴がある. 【入院時現症】体温36.8℃, 頸部, 背部に疼痛はなかった. 両上下肢とも知覚低下はなく, 両上肢の筋萎縮を認め, 筋力は徒手筋力テストにて4, 下肢の筋力は大腿四頭筋以下徒手筋力テストにて3であり, 深部腱反射は亢進し, ankle clonus陽性であった.
ISSN:0037-1033