触刺激が運動神経の興奮性に与える影響

【目的】触圧刺激は生体機能を多様に変化するとされ, 臨床においても触刺激に伴う運動の促通が行われている. この触刺激による運動神経の興奮性の影響をF波により検討したので報告する. 【対象・方法】対象は健康成人3名を対象とした. 被験者は椅子座位・安静, 閉眼とした. 環境は人間総合科学心身健康科学研究所にてできる限り暗室, 室温24℃とした. 誘発電位・筋電図検査装置(Neuropack M1:日本光電製)を使用し, 右手関節部正中神経への経皮的電気刺激により, 短母指外転筋から導出した. 電気刺激は, 最大上刺激(M波が最大となる刺激強度の120%で設定)とし, 定電流矩形波で幅を0.2ms...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心身健康科学 Vol. 6; no. 2; p. 128
Main Authors 古屋悟, 浅野貴之, 小岩信義, 久住武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心身健康科学会 10.09.2010
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】触圧刺激は生体機能を多様に変化するとされ, 臨床においても触刺激に伴う運動の促通が行われている. この触刺激による運動神経の興奮性の影響をF波により検討したので報告する. 【対象・方法】対象は健康成人3名を対象とした. 被験者は椅子座位・安静, 閉眼とした. 環境は人間総合科学心身健康科学研究所にてできる限り暗室, 室温24℃とした. 誘発電位・筋電図検査装置(Neuropack M1:日本光電製)を使用し, 右手関節部正中神経への経皮的電気刺激により, 短母指外転筋から導出した. 電気刺激は, 最大上刺激(M波が最大となる刺激強度の120%で設定)とし, 定電流矩形波で幅を0.2msec, 刺激頻度1Hzとした. 導出電極は表面電極を用い, 関電極を短母指外転筋上に, 不関電極を第一基節骨上に装着した. 同一被検者に対し, 安静(1分間)を取った後, 触刺激(1分間)を行い, その後安静(1分間)の3区間での変化を観察した. 触刺激は1)測定側手掌面を検者の示指, 中指で滑らすように触れる2)反対側手掌面を検者の指, 中指で滑らすように触れる3)測定側手掌面へ綿使用下で滑らせるように触れるとした各々を実施した. 解析パラメータはF波出現率(%), 潜時(ms), 振幅(μV)とした. 【結果】・測定側触刺激, 測定側綿刺激後でF波出現率の低下と振幅の収束の傾向を認めた. ・反対側触刺激後はF波出現率の増加が認められた. ・各刺激条件下の各パラメータ間に差はなかった(統計的な有意差は認めなかった) 【考察】F波の出現率低下, 振幅の収束の傾向は触刺激後に運動神経の興奮性に対し抑制的に作用したことを示唆したと考えられ, 逆に反対側触刺激は対側運動神経の興奮性を促通することが示唆されたのでは考える. しかし, その解釈については, 被検者を増やし, 他のパラメータとの関連を解析する必要がある.
ISSN:1882-6881