遠心ポンプとローラーポンプを並列接続した人工心肺回路が遠心ポンプ停止事故に有効であった一例

「要旨」当院のプレコネクト回路は, 操作の利便性と安全性の担保のために, 送血は遠心ポンプとローラーポンプを並列に接続し, 使い分ける仕様にしている. その中で, 並列接続してあるローラーポンプが遠心ポンプ停止時にバックアップとして働き, 迅速な対応ができた症例を経験した. 患者は50歳代, 男性. 急性大動脈解離(Stanford type A)に対し, 上行大動脈人工血管置換術を施行した. 体外循環開始後, 大動脈遮断前に遠心ポンプシステムCP5のコントロールパネルがブラックアウトし, 遠心ポンプが停止した. 術野へ報告し, 遠心ポンプ出口を遮断してローラーポンプ送血へ切り替えた. 送血ポ...

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Published in体外循環技術 Vol. 51; no. 2; pp. 154 - 157
Main Authors 森啓太, 玉岡弘充, 小岸拓哉, 奥野渉, 八木健太, 奥山浩幸, 井口亮介, 北村拡, 徳井俊也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2024
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」当院のプレコネクト回路は, 操作の利便性と安全性の担保のために, 送血は遠心ポンプとローラーポンプを並列に接続し, 使い分ける仕様にしている. その中で, 並列接続してあるローラーポンプが遠心ポンプ停止時にバックアップとして働き, 迅速な対応ができた症例を経験した. 患者は50歳代, 男性. 急性大動脈解離(Stanford type A)に対し, 上行大動脈人工血管置換術を施行した. 体外循環開始後, 大動脈遮断前に遠心ポンプシステムCP5のコントロールパネルがブラックアウトし, 遠心ポンプが停止した. 術野へ報告し, 遠心ポンプ出口を遮断してローラーポンプ送血へ切り替えた. 送血ポンプ停止時間は7~8秒であった. 送血ポンプの停止は重大な事故であり, 迅速な対応や判断能力が求められるため冷静さを欠いてしまう. 今回, 遠心ポンプのバックアップとしてあらかじめセットアップされていたローラーポンプを使用したことで, 送血ポンプ停止時間が短縮し, 安全性を担保できたと考えられた. 本症例の遠心ポンプ停止原因は特定できなかったがトラブル発生時の対応や原因, 並列回路の有効性を考察し報告する.
ISSN:0912-2664