脂肪を含有するAngiomyolipoma with epithelial cysts (AMLEC) の1例

抄録: 症例は74歳, 女性. 胆嚢摘出術前のCTにて右腎上極に嚢胞性腫瘍を認めた. 造影CTにて嚢胞性腎癌の可能性が否定できず, ロボット支援下腎部分切除術を施行した. 組織検査では, 腫瘍は3つの構成要素から成っており, 嚢胞壁はhobnail細胞に裏打ちされ, その上皮下には間質や筋細胞優位の血管筋脂肪腫(angiomyolipoma, 以下AML)を認めた. 免疫染色にて嚢胞上皮に上皮マーカーであるCK7, AE1/AE3や尿細管マーカーであるPAX8が陽性を示した. またメラノサイトマーカーであるHMB-45, メランAが上皮下間質で陽性となり, ほぼ全層においてSMAが陽性を示した...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 86; no. 5; pp. 272 - 277
Main Authors 坂梨壱成, 矢津田旬二, 穴見俊樹, 倉橋竜磨, 元島崇信, 村上洋嗣, 神波大己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.06.2024
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ISSN0029-0726

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Summary:抄録: 症例は74歳, 女性. 胆嚢摘出術前のCTにて右腎上極に嚢胞性腫瘍を認めた. 造影CTにて嚢胞性腎癌の可能性が否定できず, ロボット支援下腎部分切除術を施行した. 組織検査では, 腫瘍は3つの構成要素から成っており, 嚢胞壁はhobnail細胞に裏打ちされ, その上皮下には間質や筋細胞優位の血管筋脂肪腫(angiomyolipoma, 以下AML)を認めた. 免疫染色にて嚢胞上皮に上皮マーカーであるCK7, AE1/AE3や尿細管マーカーであるPAX8が陽性を示した. またメラノサイトマーカーであるHMB-45, メランAが上皮下間質で陽性となり, ほぼ全層においてSMAが陽性を示した. 上皮下間質において, Muller管系への形態変化を示唆するCD10は陽性, ERとPRは弱陽性を示した. 以上の結果よりangiomyolipoma with epithelial cysts(AMLEC)と診断された. AMLECは稀な疾患であり, 幅広い年齢で発生し, やや女性に多く, 組織的には上皮性嚢胞を伴ったAMLの成分であるが, 加えて脂肪組織がほとんどないことがわかっている. また結節性硬化症(tuberous sclerosis, 以下TSC)との何らかの関連が推察される.
ISSN:0029-0726