膵癌術後4年目に発症した腹腔内膿瘍の一例

「抄録」 症例は74歳男性. 膵体部癌を指摘され当院消化器外科にて201X年に膵体尾部切除施行. 術後半年間テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム内服. 3ヶ月ごとのcomputed Tomography (CT)と腫瘍マーカーで当院消化器外科にて経過観察していた. 術後4年に腹痛で当院消化器外科外来を受診. CTで新たに胃大弯側から横行結腸にかけて内部壊死を疑う造影不良域を伴った腫瘤性病変を認めた. 膵癌の大網播種を疑われ, abdominal ultrasonography (AUS)でも同様に腹膜播種が疑われた. 消化器内科で化学療法の方針となり病理学エビデンス取得目的でendosc...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 48; pp. 41 - 49
Main Authors 西紋禮士, 佐々木啓壮, 佐藤辰貴, 三宅智雄, 北川貴之, 中島義博, 多田大和, 伊禮功, 浦上淳, 日野啓輔, 吉田浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2022
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ISSN0386-5924

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Summary:「抄録」 症例は74歳男性. 膵体部癌を指摘され当院消化器外科にて201X年に膵体尾部切除施行. 術後半年間テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム内服. 3ヶ月ごとのcomputed Tomography (CT)と腫瘍マーカーで当院消化器外科にて経過観察していた. 術後4年に腹痛で当院消化器外科外来を受診. CTで新たに胃大弯側から横行結腸にかけて内部壊死を疑う造影不良域を伴った腫瘤性病変を認めた. 膵癌の大網播種を疑われ, abdominal ultrasonography (AUS)でも同様に腹膜播種が疑われた. 消化器内科で化学療法の方針となり病理学エビデンス取得目的でendoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration (EUSFNA)を施行したがEUSFNAでは明らかな腫瘍細胞を認めず, 壊死様の蛋白様物質とともに多数の細菌を認めた. 採血で炎症反応高値であったことから, 膵癌の腹膜播種ではなく腹腔内膿瘍を疑い抗生剤で治療を開始. 治療後の画像検査では膿瘍の縮小を認めた. 今回膵癌術後4年目に発症した腹腔内膿瘍の一例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-5924