造血幹細胞移植後に非結核性抗酸菌症による肺炎を発症した2症例の検討
「要旨」: 造血幹細胞移植(HSCT)後の感染症に非結核性抗酸菌(NTM)症があげられる. 当院のHSCT後の肺NTM症について2016年からの3年間で後方視的検討を行った. HSCT実施数は自家32例/同種23例であり, 2例が移植後に肺NTM症を発症した. 〔症例1〕70歳女性. びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫stage IIIAの再発を認め, 自家移植を行った. しかし移植2カ月後にM. intracellulareによる肺炎を発症し, 加療を行い軽快した. 〔症例2〕25歳男性. 急性骨髄性白血病の初回治療では移植は施行せず, 再発時に同種移植を行った. 移植1年半後に呼吸困難の増悪...
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Published in | 結核 Vol. 96; no. 5; pp. 131 - 137 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.07.2021
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 「要旨」: 造血幹細胞移植(HSCT)後の感染症に非結核性抗酸菌(NTM)症があげられる. 当院のHSCT後の肺NTM症について2016年からの3年間で後方視的検討を行った. HSCT実施数は自家32例/同種23例であり, 2例が移植後に肺NTM症を発症した. 〔症例1〕70歳女性. びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫stage IIIAの再発を認め, 自家移植を行った. しかし移植2カ月後にM. intracellulareによる肺炎を発症し, 加療を行い軽快した. 〔症例2〕25歳男性. 急性骨髄性白血病の初回治療では移植は施行せず, 再発時に同種移植を行った. 移植1年半後に呼吸困難の増悪を認め, 画像と喀痰所見から閉塞性細気管支炎とNTM症を疑ったが抗酸菌は当初同定できなかった. 1年後にM. abscessusと判明し, 治療をした後, 両肺移植を行った. NTM症はHSCT後感染症として増加する可能性があり, 早期発見のために非専門医への啓発も重要と考える. |
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ISSN: | 0022-9776 |