注意欠如多動症 (ADHD) に伴う睡眠障害

「I. ADHDと睡眠障害」 ADHDに伴う睡眠障害については, 臨床家は比較的よく経験しており, Corkumら(1998)は, 睡眠障害はADHDの子どもにおいて, 最大で55%の症例で観察されるとしている. ADHDに伴う睡眠障害は以前から指摘されており, 1957年にLauferらは"Generally, the parents of hyperkinetic children are so desperate over the night problems that the daytime ones pale in significance." (Laufer a...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 63; no. 5; pp. 678 - 681
Main Author 根來秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本児童青年精神医学会 01.11.2022
Online AccessGet full text
ISSN0289-0968

Cover

More Information
Summary:「I. ADHDと睡眠障害」 ADHDに伴う睡眠障害については, 臨床家は比較的よく経験しており, Corkumら(1998)は, 睡眠障害はADHDの子どもにおいて, 最大で55%の症例で観察されるとしている. ADHDに伴う睡眠障害は以前から指摘されており, 1957年にLauferらは"Generally, the parents of hyperkinetic children are so desperate over the night problems that the daytime ones pale in significance." (Laufer and Denhoff, 1957)と述べている. さらに"restless sleep"という症状がDSM-IIIのADHDの症状に存在しており, 1987年にDSM-III-Rに変更になるときに削除されているもののADHDに伴う睡眠障害がまれではないことがわかる. 過去の指摘は児童期対象のものがほとんどだったが, 2019年にBeckerらは13歳の思春期対象での研究で, ADHDがある思春期の子どもには, 短い夜間睡眠時間と昼間の眠気が多いなど多くの睡眠障害に関連しているとした(Becker et al., 2019).
ISSN:0289-0968