難治性肺MAC症患者におけるアミカシンリポソーム吸入用懸濁液の費用対効果分析
「要旨」背景・目的:アミカシンリポソーム吸入用懸濁液(ALIS)は, 難治性肺Mycobacterium avium complex(MAC)症に対し, 標準治療への追加投与で用いられる新たな治療薬である. 本研究では, 難治性肺MAC症患者を対象としたALISの費用対効果を評価した. 方法:分析対象技術を標準治療+ALIS, 比較対照技術を標準治療とし, 難治性肺MAC症患者の予後をマルコフモデルを用いてシミュレーションした. 分析は公的医療の立場で行い, 費用は直接医療費を評価対象とした. 効果指標は質調整生存年(QALY)とし, 費用・効果は年率2%で現在価値に割引換算した. さらに,...
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Published in | 新薬と臨牀 Vol. 73; no. 12; pp. 1369 - 1384 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
医薬情報研究所
10.12.2024
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ISSN | 0559-8672 |
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Summary: | 「要旨」背景・目的:アミカシンリポソーム吸入用懸濁液(ALIS)は, 難治性肺Mycobacterium avium complex(MAC)症に対し, 標準治療への追加投与で用いられる新たな治療薬である. 本研究では, 難治性肺MAC症患者を対象としたALISの費用対効果を評価した. 方法:分析対象技術を標準治療+ALIS, 比較対照技術を標準治療とし, 難治性肺MAC症患者の予後をマルコフモデルを用いてシミュレーションした. 分析は公的医療の立場で行い, 費用は直接医療費を評価対象とした. 効果指標は質調整生存年(QALY)とし, 費用・効果は年率2%で現在価値に割引換算した. さらに, 増分費用効果比(ICER)について, 一元感度分析, 確率的感度分析, およびシナリオ分析を行った. 結果:標準治療に対する標準治療+ALISの増分効果は3.35 QALYで, ICERは5,752,105円/QALYであった. 結論:ALISの追加投与のICERは, 日本の費用対効果評価制度において最大の価格調整を受ける基準である「1,000万円/QALY以上」を下回ったことから, 医療経済学的観点において一定の意義を有することが示唆された. |
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ISSN: | 0559-8672 |