新しい全自動型血液成分分離装置Baxter Amicus(R)による末梢血幹細胞採取-COBE Spectra(R)との比較試験

本研究では, 新しく開発された全自動型血液成分分離装置Baxter Amicusの末梢血幹細胞採取機能を評価するために, COBE Spectraの手動プログラムと比較した. 連続した自己末梢血幹細胞移植患者を対象にAmicus群とSpectra群に交互に振り分け, CD34陽性細胞回収率や採取物の特徴を比較検討した. 最初の比較試験では, Amicusの設定をデフォルトのまま, すなわちMNCオフセットを23ml, 処理血液量は1,400ml×7cyclesで行った. 症例数は各群それぞれ5例, 採取回数はAmicus群7回, Spectra群9回であった. CD34陽性細胞回収率はAmic...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 397 - 404
Main Authors 奥山美樹, 原口京子, 中川美子, 佐久間香枝, 石井加世, 高橋直美, 安部久美子, 高木朋子, 武田敏雄, 國友由紀子, 山本恵美, 小澤直宏, 比留間潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 20.06.2006
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Summary:本研究では, 新しく開発された全自動型血液成分分離装置Baxter Amicusの末梢血幹細胞採取機能を評価するために, COBE Spectraの手動プログラムと比較した. 連続した自己末梢血幹細胞移植患者を対象にAmicus群とSpectra群に交互に振り分け, CD34陽性細胞回収率や採取物の特徴を比較検討した. 最初の比較試験では, Amicusの設定をデフォルトのまま, すなわちMNCオフセットを23ml, 処理血液量は1,400ml×7cyclesで行った. 症例数は各群それぞれ5例, 採取回数はAmicus群7回, Spectra群9回であった. CD34陽性細胞回収率はAmicus群で33.20±12.23%, Spectra群で54.51±12.07%と後者で有意に良好であった. 血小板の混入量はAmicus群で4.57±193×1010/bag, Spectra群で17.71±15.55×1010/bagと前者で有意に少なかった. 次にAmicusのCD34陽性細胞回収率を向上する目的でMNCオフセットを2.1ml, 血液処理量を1,800ml×5cyclesに変更し, 同様の比較試験を行った. 症例数は各群それぞれ5例, 採取回数はAmicus群7回, Spectra群7回であった. CD34陽性細胞回収率は23.09±11.53%, Spectra群で50.66±15.15%と後者で有意に良好であり, AmicusのCD34陽性細胞回収率を向上することはできなかった. Amicusは自動型の利点があるものの, CD34陽性細胞回収率がSpectra手動プログラムより劣っていると考えられたが, 回収率の差をより明確にするために, 症例数を増やして更なる検討の必要性があるものと思われた.
ISSN:0546-1448